プライベートバンクはいくらから利用すべきなのでしょうか?
今回は日本国内で利用できるプライベートバンキングサービスや富裕層の資産運用先についてご紹介します。
日本のプライベートバンキングサービスはいくらから?
まず、そもそも日本には伝統的なプライベートバンクはありません。
日本にあるのはプライベートバンクではなく、大手証券会社やメガバンクなどが、個人向けの金融サービスの一つとして提供している、プライベートバンキングサービスです。
大手金融機関の顧客基盤は幅広く、当然それ相応の金融資産を保有している顧客を多数抱えています。
そのため、基本的に大手金融機関のプライベートバンキングサービスは、金融純資産数十億円以上の人々に向いているサービスと言えます。
日本のプライベートバンキングサービスの問題点

また、日本のプライベートバンキングサービスと、海外のプライベートバンクを比較すると、担当者(プライベートバンカー)の質が異なります。
具体的に何が違うかというと、スイスやリヒテンシュタインなどにあるプライベートバンクであれば、プライベートバンクの仕事を専門に、長年経験しているプライベートバンカーと接することができます。
一方で、日本のプライベートバンキングサービスの場合は、担当者には社内異動などが多くあります。ですので、当然担当者は、プライベートバンカーとして長年働いてきている人だけではありません。
日本のプライベートバンカーは自身の営業成績を優先しがち
もちろん、日本のプライベートバンカーであっても、中には豊富な金融知識を持っている方もいるでしょう。
数は少ないとは思われますが、日本のプライベートバンカーの中にも、自分自身でもそれなりの金額で資産運用に取り組まれている方も、いるとは思われます。
ただし、実際のところ自分がそれなりの金融資産を保有していないと、富裕層の資産運用をイメージし辛いことは確かです。
ですので、結局はお客様の資産よりも、自分自身の営業成績を優先してしまうこともあるでしょう。
プライベートバンカーとお客様側がWIN-WINの関係性ではない
そもそもプライベートバンカー側の利益と、お客様側の利益が一致していないため、なかなかWIN-WINの関係になり辛いのが現状です。
また、現状は国内の富裕層のニーズに対して、専門的な知識を持つ日本人プライベートバンカーの数が、圧倒的に足りていないという問題もあります。
以上のような理由から、はっきり言ってそんなにはプライベートバンキングサービスはおすすめできません。
続いて、具体的にいくらから利用できるのか?、国内大手のプライベートバンキングサービスを比較してみます。
国内の大手プライベートバンキングのサービス比較
カテゴリー | 業者名 | 設立 | 最低純資産 |
銀行 | みずほプライベートウェルスマネジメント | 2005年 | 10億円以上 |
信託銀行 | 三菱UFJ信託銀行プライベートバンキング | – | 非公開 |
信託銀行 | 三井住友信託銀行プライベートバンキング | – | 非公開 |
証券会社 | 三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券 | 2006年 | 1億円以上 |
証券会社 | 野村證券 | – | 非公開 |
証券会社 | 大和証券 | – | 非公開 |
証券会社 | SMBC日興証券 | – | 非公開 |
上記の比較表を確認してみると、情報公開がされている中で、最低純資産が一番低いのは1億円以上の三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券で、一番高いのは10億円以上のみずほプライベートウェルスマネジメントです。
この他にも、例えば三菱UFJ銀行などでもプライベートバンキングサービスを取り扱っています。
ですが、基本的にはこちらは銀行が窓口となっているだけで、銀行経由で結局は同じグループの信託銀行などを紹介される形となります。
このような状況を鑑みても、なかなか国内のプライベートバンキングサービスを利用するのは、ハードルが高いことが分かります。
日本に拠点を持つ外資系金融機関のプライベートバンキング

そこで、日本に拠点を持つ外資系金融機関のプライベートバンキングサービスを確認してみます。
プライベートバンクで人気の国と言えば、やはりスイスです。日本にも、実際プライベートバンキングサービスを提供するスイスの金融機関も、一部進出しています。
ただし、こちらも最低金融純資産金額を確認してみると、有名なクレディ・スイスは純資産10億円以上を対象としていたりと、国内の金融機関と同じく、利用するハードルは中々高いです。
それでは、金融資産数億円の富裕層は、一体どのような金融商品を利用するのでしょうか?
プライベートバンク以外の富裕層向けの資産運用手法は?

プライベートバンクの他に、富裕層の資産運用で王道と言えば、海外のヘッジファンドの利用です。
もちろん、海外で高リターンを生み出しているヘッジファンドであっても、数年後に好調だったヘッジファンドが消えていることもあるのが、ヘッジファンド業界です。
相場が上昇トレンドでも下降トレンドでも利益を出す、絶対利益追求型のヘッジファンドは近年以前よりもさらに富裕層に人気になってきています。
ですが、海外のヘッジファンドと言えど、当然ながら元本保証の金融商品ではありません。
ヘッジファンドはリスクを踏まえて利用するのが吉
ヘッジファンドには、上述したように倒産リスクがあります。また、通常の金融商品とは異なり解約にも時間がかかるため、流動性リスクも存在します。
近年は仲介業者を通じて、数千万円ぐらいからでも海外のヘッジファンドへ投資ができるようになりましたが、いまだに怪しい業者も多いのがこの業界です。
実際のところ、海外にある絶対利益追求型のヘッジファンドのような業者は日本には存在しません。
独立系の資産運用会社で、金融庁に登録しており信頼性が高く、なおかつ高いパフォーマンスを出しているのは、レオスキャピタルワークスが提供するひふみ投信ぐらいです。
ヘッジファンドと直接契約する際に注意すべきこと
ここでもう少し詳しく、ヘッジファンドと直接契約する際に注意した方が良い点をお伝えします。
まず、そもそも投資家からの資金の募集形式には「公募」と「私募」が存在します。「公募」とは、公的に広く一般に投資家を募集する方法です。この募集形式を利用した金融商品には、例えば証券会社や銀行などを通じて、不特定多数の投資家に対して販売されている「公募投資信託」などがあります。
このように公募の場合は、専門的な金融の知識が無い一般投資家にも販売することになります。そのため、金融商品取引法という法律によって、販売する証券会社に対しても、運用を任されている資産運用会社に対しても「金融庁」の厳しい目がついています。
ですので、消費者である私たちは安心して購入することが可能です。
私募形式のヘッジファンドの利用には特に注意が必要
一方「私募」とは、50名未満の人々を相手に勧誘する私的な募集のことです。募集する相手も一部のプロ投資家を対象とすることも多いため、公募に比べると細かい規制は必要なくなります。
そのため、この「私募」で資金を募集して運用する場合は、規制もある程度緩くなっているため、ヘッジファンドもリスクをとった運用が可能になり、ハイリターンの実現可能になるのです。
ですが、ヘッジファンドの中にはこの「私募」形式を利用して、限りなくグレーに近いやり方で投資家から資金を集め、お金を運用をしている会社もあります。ですので、その点には十分に注意した上で、ヘッジファンドは利用した方が良いでしょう。
プライベートバンキングよりも注目されている投資とは?

ここまででお伝えしてきたように、富裕層向けのプライベートバンキングサービスや、海外のヘッジファンドの金融商品が日本で成長していくには、まだまだ時間がかかるでしょう。
そんな時代背景の中で、最近の富裕層はプライベートバンクの利用だけでなく、ベンチャー企業や未上場企業への投資など、社会貢献性の高い投資にも目を向ける人が増えています。
自分の利益のためだけの運用ではなく、これまでに貯金してきたお金を利用して、誰かの役に立ちたいと思う富裕層が増えているのです。ベンチャー企業への投資は、これまでは一部の限られたベンチャーキャピタルや、エンジェル投資家しかできないものでした。
しかしながら、最近ではインターネットを通じて、未上場企業へ投資できる株式投資型クラウドファンディング と呼ばれる新しいサービスが出てきています。
ベンチャー企業への社会貢献投資に目を向けるのも一手
【公式サイト】https://fundinno.com/
ファンディーノは、株式投資型クラウドファンディングの案件数No.1のサービスです。ファンディーノを通じて、ベンチャー企業は株式を発行し、ネット上で多くの個人投資家から少額ずつ資金を集める仕組みです。
1社あたりの年間募集金額上限は1億円未満、投資家の1社に対する年間投資上限金額は50万円までと、法律で決まっています。ですが、毎回ベンチャー企業が募集を開始すると、開始数分で募集金額に達しています。
ちなみに筆者がファンディーノで「ノモック」という、移動を無料で可能にすることを目指すベンチャー企業に投資をした際は、ものの数分で5千万円の調達が完了するなど、投資家側のニーズは高いものがあります。
なお、未上場企業への投資はハイリスクの投資となりますが、見事企業が上場したりM&Aされた場合、リターンもかなり高くなる可能性が高いです。ただし、ファンディーノは1年以上の投資経験があり、金融資産も300万円以上ある方向けです。
そのため、富裕層の方で余剰資金の投資先を検討されている方は、このような新しい社会貢献型投資も、一度検討されてみるのも良いかと思われます。