ロードスターキャピタル株式会社が、2017年8月にマザーズに上場することが決まりました。
ロードスターキャピタル株式会社はオーナーズブック(OwnersBook)という「1万円から始められる不動産投資サービス(不動産特化型クラウドファンディングサービス)」を手がけている会社です。
筆者もオーナーズブックには無料登録していますが、これまで貸し倒れも一件も発生していないため、良質な不動産投資クラウドファンディングだと感じています。
ロードスターキャピタルは収益面では基本的には自社の不動産投資事業で儲けている会社になりますが、今回はそんなロードスターキャピタル株式会社の評判や今後の将来性について分析してみました。
ロードスターキャピタル株式会社の概要や評判
まず、ロードスターキャピタル株式会社の会社概要です。
ロードスターキャピタル株式会社は2012年に設立され、現在資本金約5億円、従業員数30名程度のベンチャー企業でしたが、2017年8月には東証マザーズへの上場承認がおりました。
会社概要からも分かるように、きちんと第二種金融商品取引業などの免許登録も済ませており、この度上場承認もされた企業ですので、企業としての信頼性は高いと言えるでしょう。
なお、代表取締役社長は岩野達志氏、副社長は森田泰弘氏と、ともに不動産業界でのキャリアが長く、ロードスターキャピタル株式会社は、いわゆる不動産投資のプロが経営者をつとめています。
代表取締役社長 岩野達志氏の経歴
東京大学農学部卒。一般財団法人日本不動産研究所にてキャリアをスタートし、不動産鑑定業務に従事。
2000年よりゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパンにて自己投資・運用ファンドの不動産取得部門、2002年以降はアセットマネジメント部門。
2004年からロックポイントマネジメントジャパンLLC ディレクターとしてエクイティ500億円以上、案件総額3,000億円以上を実行、ロックポイントグループの日本における不動産投資業務をリード。
不動産鑑定士、宅地建物取引士。
出典:OwnersBook公式サイト
代表取締役副社長 森田 泰弘氏の経歴
立命館大学産業社会学部卒。安田信託銀行(現:みずほ信託銀行)にてキャリアをスタート。
1996年より一般財団法人日本不動産研究所。2003年よりゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパン。
自己投資・運用ファンドの不動産取得部門を経て、2005年以降はアセットマネジメント部門。アジアマネジメントコミッティーメンバーとして、数千億円の投資案件の運用をリード。
不動産鑑定士、宅地建物取引士。
出典:OwnersBook公式サイト
また、経営陣以外にも不動産業界での経験があるメンバーが揃っています。
また、社員にもきちんとストックオプションを発行しているようですので、上場後もまだ成長が続いていく会社のように見受けられます。
ロードスターキャピタル株式会社の財務内容と今後の見通し
続いて財務内容ですが、2012年に設立されたロードスターキャピタル株式会社は、設立5年の2016年時点ですでに46億円もの売上があります。
なお、2017年は売上高が下がったように見えますが、こちらは半年分の売上高が計上されている形になります。
つまり、半年ですでに33億円もの売上がありますので、2017年にはさらなる成長が期待できる形となっています。なお、2016年度のロードスターキャピタルの売上構成は下記になります。
- 不動産投資事業(つまりは不動産の売却益):約40億円
- 不動産賃貸事業(つまりは家賃収入):約6億円
- 不動産特化型クラウドファンディングサービス(OwnersBook):7百万円
- その他:17百万円
こちらを確認すると、不動産の売却益が主であったことがわかります。
オーナーズブック(OwnersBook)の会員数も順調に推移中
出典:OwnersBook公式サイト
ここまで見て来ると「OwnersBook」の収益は他の事業と比べると高くないようには見受けられますが、有価証券報告書を読み解くと、2017年には半年で売上高が16百万円まで増加しております。
つまり、着実にOwnersBookの事業も成長しており、上記の通りOwnersBookの会員数も増加しています。
ですので、徐々にOwnersBookという不動産特化型クラウドファンディングサービス自体が、人気が出てきているということです。
また、今回の上場によって調達した資金はOwnersBookの広告宣伝費用にも利用されるようですので、今後さらにOwnersBookの利用者が増えることは確実でしょう。
中規模オフィスビルを狙った不動産投資戦略
続いて、すでにこれまでの5年間でかなりの利益が出ているロードスターキャピタルの不動産投資事業について焦点をあててみます。
そすうると、その投資対象先は「中規模オフィスビル」ということがわかります。
これはまさに空いていた市場であり、そこに不動産投資のプロが集うロードスターキャピタルが、適切なタイミングでその市場に参入したと言えるでしょう。
そして、こうして自社の不動産投資事業で得た利益を、OwnersBookや人工知能(AI)で不動産を査定するサービスなどの新しいサービスに回していくことで、非常に良い循環を生んでいると思われます。
ロードスターキャピタル株式会社の経営リスク
ここまで確認してみたところ、かなり順調に見えるロードスターキャピタルですが、もちろん経営リスクはあります。
主なリスクとしては、代表者の突然の事故死などの経営者リスク、日本の不動産市場の景気低迷リスク、東京における大規模地震などの自然災害リスクあたりが挙げられるでしょう。
また、有価証券報告書にも記載されていますが、不動産投資事業の性質上「有利子負債(主に銀行からの借入金)」は大きくなりがちです。
そのため、その「借入金を今後もきちんと返せそうかどうか?」という部分は、今後も気をつけて確認しておいた方が良いでしょう。
そして最後に細かい点ですが、一点気になる点としては、中国大手SNSの「人人網」を運営するRenren, Inc.(ニューヨーク証券取引所に上場しています)が、ロードスターキャピタル株式会社の株式を46.47%も保有していた点です。
ロードスターキャピタル株式会社の株主構成について
ロードスターキャピタルは、大手企業の株式会社カカクコムから資金調達したというニュースは話題になりました。
ですが、実際見てみるとその株主持分は低く(投資時期が遅いため妥当かとは思います)、一方で中国大手企業のRenrenは46.47%も株式を保有していました。
ロードスターキャピタル株式会社の取締役には、RenrenのCOOであり、スタンフォード大学でMBAも取得している「ジェイムズ・ジェン・リウ」氏も参画していることから、今後ともロードスターキャピタル株式会社は、Renren, Inc.の動きに影響を受けることは間違いないでしょう。
この大手中国企業との繋がりは、日本の不動産投資市場を中国の投資家にアピールするためのコネクションとも見えなくもないです。
ですが、将来的にはもしかすると完全な中国企業となる可能性もあるかもしれません。
オーナーズブック(OwnersBook)で損することはある?
ちなみに、オーナーズブックで損することはあるのでしょうか?
ついでにオーナーズブックに過去の貸し倒れ案件があるのか、調査してみました。結論からお伝えすると、2014年のサービス開始から2019年12月末まで1件もありませんでした。
ただし、そもそもオーナーズブックの貸付型案件は、不動産担保を取得して貸付を行うため、万が一貸し倒れが発生しても、取得した不動産担保を売却することで損失が補填されるスキームになっています。
オーナーズブック(OwnersBook)の貸し倒れについて
実際に過去のお知らせを調べてみると、貸し倒れではありませんが問題が発生している案件がありました。具体的にはこちらの「江東区商業ビル第1号ファンド第1回」です。
これだけをみると、単純に初回の案件というのは注意が必要なようには思われます。ざっと内容をみたところ貸し倒れではないのですが、まず案件の状況は以下でした。
- 極度額11,200万円(1億1,200万円)の根抵当権(第三順位)を本案件実行時に設定
- 本物件について、LDF社は本貸付金額8,000万円を超える募集又は貸付は行はない
- 本物件には、同一銀行・同一支店からの二つのローン(シニアローン①及びシニアローン②)を担保するものとして、第一順位・第二順位の抵当権が設定されている
- シニアローン①及びシニアローン②の元本残高の合計額は859,468,477円(2019年2月28日時点)
上記を確認すると、今回の根抵当権は第3順位で、OwnersBookの貸付金額は8,000万円です。もともとの物件評価額12.6億円ですので、以下のような図の状態です。
こちらを確認すると問題なさそうには思えますが、実際はどうだったのでしょうか。
2019年07月05日[重要]江東区商業ビル第1号ファンド第1回 | 案件に関する状況報告
「江東区商業ビル第1号ファンド第1回」の案件に関して、貸付先である専門商社(介護)ARの連帯保証人のうちの一社の民事再生手続きの開始決定を原因として、専門商社(介護)AR、物件①を所有する不動産保有会社、及び連帯保証人の二社の計四社において、代表取締役に就任している個人(※)が破産手続きの申立てを行い、その開始決定通知を受けたことが判明いたしましたので、お知らせいたします。
※本件貸付に関し、貸付人と個人との間には連帯保証を含む債権債務関係は一切ございません
上記を読み解くと、どうやら代表取締役の個人が破産手続きの申請をしたようです。一体何があったのかというところではありますが、、OwnersBook側には以下の説明が記載されています。
個人の破産手続きが開始されたことにより、今後、貸付先や連帯保証人の活動に支障等が生じ、ひいては債務弁済に影響が出る可能性がございます。ただし、本件貸付の担保として不動産に根抵当権を設定していること、及び本件破産手続きが本件担保不動産の価格に影響する程度は限定的と考えられることから、本件貸付の回収への影響は限定的と考えております。
上記のように、特段影響はないと読み解くことができます。
その後、「2019年07月16日[重要]江東区商業ビル第1号ファンド第1回 | 案件に関する状況報告(第二報)」において進捗が共有されており、本件貸付の回収を進める旨が説明されています。
本件民事再生手続き及び本件破産手続き、並びに貸付先からの回収に関して進捗があり次第、本案件に投資いただきました投資家の皆さまにご報告申し上げるとともに、本件貸付の回収が完了しましたらホームページでも併せてご報告申し上げます。
実際にオーナーズブックが貸付を行なった先が倒産している訳ではありませんので、正直なところ投資家に損失は出ないのではないかなとは思われますが、世の中何があるのかわからないといったところでしょうか。
筆者としてはオーナーズブックの運営会社は上場企業ですし、信頼性は高いと感じています。ただし、世の中に絶対的なものはありませんので、オーナーズブックの初回案件については注意したいなと思った次第です。
オーナーズブックで損する可能性はある?筆者の見解
上記を踏まえると、オーナーズブックに限らず投資にリスクはつきものですので、投資をして損する可能性はあるとは言えるでしょう。
ただし、ソーシャルレンディング案件の中では、オーナーズブックの貸付型案件は不動産担保を取得していますので、かなり固い投資先であるとは言えるでしょう。万が一貸し倒れが発生した場合は、取得した不動産担保を売却することで損失が補填できるからです。
それに、オーナーズブックは2種類の案件を取り扱っていますので、見極めは割と簡単です。
- 貸付型案件であれば不動産担保を取得している
- エクイティ型案件はハイリスクハイリターン
なるべくリスクを抑えて投資をしたい場合は、貸付型案件に投資をするのが良いでしょう。また、いずれにせよ、オーナーズブックの一つの案件に集中投資をするのは危険です。
ソーシャルレンディング を利用する際は、さまざまな案件に分散投資をするのが王道です。
物件売却時に価格下落保証がある不動産投資クラウドファンディング
① 動画で物件状況を確認できるCREAL(上場企業運営)
【公式サイト】https://creal.jp/
オーナーズブック以外の不動産投資型クラウドファンディングを利用するのであれば、CREALが有力です。
CREALは投資先の不動産物件の詳細を動画で確認することができることに加えて、物件売却時の価格が万が一購入時より下がっていたとしても、10〜20%程度の下落であれば保証してもらえます。つまり、オーナーズブックのエクイティ型案件の保証つきのような形式です。
1万円から投資をすることができ、口座開設や口座維持手数料は無料ですので、まずは無料登録されるのがおすすめです。
② 上場企業のグループ会社が運営しておりコインで投資できるRimple(リンプル)
【公式サイト】https://funding.propertyagent.co.jp/
Rimple(リンプル)は、上場企業のグループ会社であるプロパティエージェント株式会社が運営する、不動産投資クラウドファンディングです。
プロパティエージェントが自社開発した、都心に特化した高利回りの優良物件の案件を豊富に取り扱っている点が特徴です。1口1万円から投資をすることができ、投資した物件を売却する際に、万が一価格が下落していても、3割まではプロパティーエージェント側が負担してくれます。
そのため、投資家である私たちの元本毀損リスクは、かなり抑えられています。また、セゾンの永久不滅ポイントをリンプルコインに交換することができ、元手ゼロでのポイントからの投資も可能です。
③ 上場企業が運営しており地方物件があるJointα(ジョイントアルファ)
続いて、Jointoαは、東証一部上場企業の穴吹興産が運営する不動産投資クラウドファンディングです。
CREALよりも保証額が大きく、物件の売却時に価格が30%下落しても保証してもらえます。ただし、CREALよりも運営歴は短いため、案件数はまだ少ない点がネックです。
また、最低投資額が10万円からですので、すこし敷居の高いサービスと言えるでしょう。1万円から投資を行いたい方には、リンプルの方がおすすめです。
ロードスターキャピタル株式会社に関するまとめ
以上になりますが、ロードスターキャピタル株式会社は、当面は期待できる急成長中のベンチャー企業です。株式投資の対象先として検討しても良いかと思います。
また、運営サービス自体の評判も上々ですので、投資を検討するにせよ、一度OwnersBookの無料会員登録をしてみて、実際にサービスがどんな感じなのかを確認してみても良いのではないでしょうか。
当サイトではおすすめの不動産投資クラウドファンディングのランキングを紹介しています。それぞれのサービスに特徴がありますので、サービスを比較して良いと思ったサービスに口座開設をされるのも良いでしょう。