富裕層向けの資産運用には何があるのでしょうか?
まず、富裕層の定義によりますが、例えば純金融資産が10億円以上あるような方の場合、個別の金融商品ではなく、プライベートバンクやファミリーオフィスを利用していることもあるでしょう。
他にも、人によっては未上場企業(ベンチャー企業)へのハイリスク・ハイリターン投資を通じて、若者支援や社会貢献投資などをしていることもあるかもしれません。
そこで今回は、それらの投資先以外で、富裕層向けの資産運用として一般的な方法をいくつかお伝えします。
富裕層向けの資産運用としての私募ファンド
まず、数千万円の資金の運用先として良く選択される資産運用先は、私募ファンド(ヘッジファンド)でしょう。他にも海外不動産や航空機、ワイン・絵画・切手・コインなども選択肢としてはありえると思われますが、ヘッジファンドであれば一番手っ取り早く投資をすることができます。
海外の不動産の場合は投資するにあたって現地視察をしたいと考える方が大半かと思いますが、一方で海外のヘッジファンドであれば、日本にお住まいであっても、例えばヘッジファンドダイレクトなどの仲介業者を通じての投資が可能となります。
海外ヘッジファンドを利用するメリット
ヘッジファンドの良いところは、日本で販売されているような投資信託とは異なり、絶対利益追求型の資産運用スタイルな点です。
ですので、これまでに実績のある海外のヘッジファンドであれば、年利10数%〜20数%ものリターンが見込めることが一般的です。
ただし、海外のヘッジファンドであれば絶対確実に儲かるという訳ではありません。ですので、実際に利用するヘッジファンドは、慎重に検討する必要があります。
また、一応日本にも圧倒的な実績を誇る独立系資産運用会社は、一社だけあります。レオスキャピタルワークス株式会社という会社で、ひふみ投信という投資信託を提供しています。
R&Iファンド大賞4年連続受賞の独立系資産運用会社
ひふみ投信は主に日本の成長株にフォーカス投資をした投資信託で、2008年9月末に基準価格1万円でスタートしましたが、2018年には5万円を超えました。
約10年間で基準価格は5倍にもなっていますので、完全にほったからしの資産運用としては、十分すぎるほどのパフォーマンスです。筆者もひふみブランドでの資産運用を行っておりますが、順調に利益が出ています。
また、近年はレオスキャピタルワークスの代表の藤野氏がカンブリア宮殿などのTVに出演したことなども合間って、ひふみ投信の人気が上昇しており、純資産総額は1500億円に到達しようとしています。
ひふみ投信は購入時も解約時も手数料は無料でリターンが今のところ高い
なお、ひふみ投信は手数料も信託報酬の1.0584%のみで、口座開設手数料や口座維持手数料は無料、購入時や解約時にも手数料はかかりません。
信託報酬がそこそこ高いと感じられるかもしれませんが、ひふみ投信の場合、5年以上の保有で0.2%、10年以上の保有で0.4%の手数料還元があるため、長期保有すればするほどお得な手数料体系となっています。
また、これだけ高いリターンを鑑みると一定の手数料は仕方ないかなと考えています。
筆者もひふみ投信には口座を保有していますが、例えば現在キャピタルゲインを目的とした成長株にあまり投資をしていないような方でしたら、資産運用のポートフォリオの一つとして利用するのは全然ありかと思われます。
海外ヘッジファンドを利用するデメリット
続いて海外ヘッジファンドの話に戻りますが、ヘッジファンドは絶対利益追求型というメリットがある一方で、海外ヘッジファンドにはデメリットもあります。
例えば、ヘッジファンドと直接契約した場合、預けたお金を解約するためには、通常45日前に通告する必要があります。そのため、運用をやめたいと思った時にすぐに解約できるひふみ投信のような独立系の投資信託よりも、資金の流動性は低くなります。
また、ヘッジファンドはリターンが高い分、若干手数料も高いです。一般的には運用報酬として年間2%、成功報酬(キャピタルゲイン)の20%程度は手数料として取られます。
通常の投資信託の場合は、アクティブ型の投資信託でも年間運用報酬は1.5%程度ですので、それらと比べるとヘッジファンドの手数料は高いと言えます。ただし、数千万円を一気に運用したいと考えているような富裕層にとっては、引き続き海外ヘッジファンドなどは資産運用先の一つであるとは言えるでしょう。
しかし、だからと言って全財産をヘッジファンドに投資するように、一つの投資先に全財産を突っ込んでしまっては、その一つがダメになった場合の打撃が大きすぎます。そのため、普通に考えると様々なアセットクラスに分散投資をすることが資産を守ることに繋がります。
ロボアドバイザーやソーシャルレンディングを併用するのも一手
現在では、ウェルスナビなどのロボアドバイザーや、OwnersBookなどのソーシャルレンディングなど、投資できる対象も増えてきています。
他にも、世界一の投資家ウォーレンバフェットが推奨するように、米国株式へのインデックス投資(S&P500連動の投資信託など)も選択肢に入れるのも一手でしょう。
また、日本円だけに限るのではなく、日本円だけでなく外貨や仮想通貨にも分散投資をしておくことで、日本がインフレになって日本円の価値が下がった時のリスクヘッジとなることは確実です。
それではここからは、インフレリスクに備えて仮想通貨に分散投資をするのも検討の余地ありという方に向けて、具体的な仮想通貨の購入方法やリスクなどについて簡単にご紹介します。
【大前提】仮想通貨投資を始める際にまず注意すべきこと
出典:金融庁
まず、仮想通貨への投資は、金融庁登録済の「仮想通貨の取引所」を通じて、インターネット上で仮想通貨を購入することから始まります。
日本では2017年4月に「改正資金決済法」と呼ばれる仮想通貨の法律が制定され、仮想通貨の交換業者には、事前に金融庁と財務局への登録が必要となりました。
2017年10月時点での金融庁登録済みの業者は11社、継続審査中がまだ10数社ある状態です。
従って、基本的に金融庁登録がない業者や、金融庁に登録の申請すらしていない仮想通貨の業者は全て「詐欺」という認識で良いでしょう。
また、金融庁登録がない業者からしか購入することができない「〇〇コイン」のようなものについても、全て「詐欺」であると疑ってかかった方が良いでしょう。
仮想通貨とは?基本的な機能は?
続いて、そもそも仮想通貨とは、特定の国家による価値の保証を持たない通貨のことをさします。日本円などの「法定通貨」の場合は、その価値を日本政府が保証してくれているのです。
イメージとしては、中央に管理者がいない、インターネット上のお金のようなものです。
そして、仮想通貨といえど通貨ですので、日本円と同じく、支払い手段としての「価値の交換」、ものさしとしての「価値の尺度」、そして「価値の保存」という3つの機能を持っています。
- 投資:資産運用として利用することが可能
- 送金:いつでも、どこからでもどこへでも、安く早く送金が可能
- 決済:商品やサービスの購入が可能
具体的には、仮想通貨は投資に利用することもできれば、送金に利用することもできれば、決済に利用することもできます。
一番最初の仮想通貨は、2008年にSatoshi Nakamotoが発表した論文から生まれた、ビットコインです。ですが、現在ではビットコインの技術を元に作られた新しい仮想通貨(アルトコイン)が何千種類と生まれています。
そして、それぞれの仮想通貨に色んな特色があるのです。
仮想通貨投資のリターンとリスク
仮想通貨 | 単位 | 2015年9月末 | 2017年9月末 | 倍率 |
ビットコイン | BTC | 約236$ | 約4,163$ | 約17倍 |
ライトコイン | LTC | 約2.9$ | 約54.3$ | 約18倍 |
リップル | XRP | 約0.005$ | 約0.19$ | 約38倍 |
イーサリアム | ETH | 約0.6$ | 約291$ | 約485倍 |
ネム | XEM | 約0.0001$ | 約0.23$ | 約57倍 |
ダッシュ | DASH | 約2$ | 約327$ | 約163倍 |
モネロ | XMR | 約0.4$ | 約94.5$ | 約236倍 |
上記の表は、日本の仮想通貨の取引所で購入ができる仮想通貨の例です。2015年9月末と2017年9月末の価格を比較し、倍率を一番右に表示しています。
上記の表のリターンを確認してみると、2015年に仮想通貨投資を始めていれば、ビットコインでも約17倍、イーサリアムであれば約485倍のリターンがあったことがわかります。
このようなリターンを享受し、日本でも億万長者が数百名以上誕生したようです。一方で、仮想通貨投資には当然、価格変動リスクがあります。
仮想通貨は元本保証の金融商品ではない
当然、仮想通貨の価格が安い時に購入して、高い時に売ることができれば儲かります。
一方で、価格がとても高い時に購入してしまって、その後その仮想通貨の価格が下落した時に売却をしてしまったら、損をしてしまいます。
このような点は、株式投資や投資信託などと同じです。当然、仮想通貨は元本保証がある金融商品ではありませんので、その点には留意した上で始めるべきでしょう。
その他にも、仮想通貨投資には下記のようなリスクがあります。
- 仮想通貨のハッキングリスク
- 仮想通貨の取引所に関するリスク(破綻やシステム障害など)
- 仮想通貨の法令や税制の変更リスク
仮想通貨は現金の紙幣とは異なりますので、ハッカーによるハッキングリスクがあります。
また、当然銀行にも破綻リスクがあるように、仮想通貨の取引所にも破綻リスクやシステム障害リスクなどがあります。ですので、大切なのは信頼できる取引所を利用することです。
仮想通貨に関する法令や規制は、国によって異なる
また、仮想通貨の法令や規制などは、国によって異なります。日本では2017年4月に世界に先駆けて法律が施工されましたが、中国ではビットコインを禁止する措置をとっています。
どこかの経済大国が規制をすると、それはビットコインなどの仮想通貨の価格変動に影響を及ぼします。ですので、仮想通貨へ投資をする際は、そのような各国の規制にも留意が必要です。
ただし、現在では世界中にビットコインなどの仮想通貨を利用する人々が、すでに数千万人以上いる状態です。ですので、たとえ一つの国が仮想通貨を規制をしたとしても、価格への影響はだんだんと少なくなってきています。
他の投資と比較した際の仮想通貨投資のメリット
続いて、投資信託や株式投資などの他の投資と比べた際の、仮想通貨投資のメリットは下記になります。
- 投資の初心者でも儲かる可能性がある
- リスクに対するリターンが高い(1年間で100倍など)
- 365日24時間、土日でも取引が可能
- 仮想通貨の市場自体が成長している
実際に、これまで投資をやったことがない人々が、仮想通貨によって何千万円、何億円というお金を稼いでいる事例が、日本にもたくさんあります。NHKのニュースにも、いわゆる仮想通貨の億万長者が度々登場しています。
また、仮想通貨はプログラミングによって、インターネット上で動いているものです。そのため、テクノロジーを理解することができるエンジニアやプログラマーなどにとっては、とても有利な資産運用と言えるでしょう。
他の投資と比較した際の、仮想通貨投資のデメリット
- 仮想通貨の情報が錯綜しているため、情報収集が大変
- 実験段階の仮想通貨が多く、不確定要素が多い
- 株式投資や投資信託と異なり、税制面の優遇がない(総合課税)
一方、現在の仮想通貨投資のデメリットとしては、仮想通貨詐欺などが横行している点です。
インターネット上には、消費者を騙して高額な「詐欺コイン」を買わせようとしているサイトもあります。ですので、そのようなサイトには留意が必要です。
仮想通貨の税金は総合課税なので注意
また、税金面でも投資信託や株式投資の「申告分離課税」と異なり、仮想通貨は「総合課税」となります。
株式投資で得られた利益に対しては20.315%の税金ですみますが、仮想通貨で得られた利益は、給与所得などの他の所得と合算され、所得税の税率がかかってきます。
仮想通貨にはこのようなメリットとデメリットはありますが、将来的に仮想通貨がもっと普及すると信じられる方は、仮想通貨投資を始めてみても良いのではないでしょうか。
仮想通貨での資産運用には幅広い人が取り組み始めている
出典:CNET JAPAN
最後に、実際に仮想通貨投資にはどんな人が取り組んでいるのか?というと、20代〜40代男性の方がメインだったようです。
そのような方々が、2016年頃から会社員の「副業」として仮想通貨投資に取り組んだことで、2017年には数億円を稼いで「億り人」となったようです。
出典:IT media news(2018年1月追記)
また、2016年10月時点では、国内のビットコインの現物の取引高は2,000億円程度でしたが、2017年10月時点では5兆円を突破しています。
仮想通貨投資は、誰でも簡単に数百円程度の少額からでも始めることができます。今では個人投資家や会社経営者などの属性の方だけでなく、大学生から主婦の方まで、日本でも数百万人以上の人々が取り組み始めています。
ぜひ自分にあった資産運用先を利用して分散投資をしつつ、着実に資産を増やしながら守っていきましょう。