エンジェル投資は節税や税金対策になるのでしょうか?
今回は、一般の個人投資家がエンジェル投資をする場合、どのような優遇を受けられるのか?や、ベンチャー企業などと特に繋がりがない一般の個人投資家が、ベンチャー企業にエンジェル投資する方法をお伝えします。
エンジェル税制を利用すると所得税の優遇措置を受けられる
まずエンジェル税制とは、ベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して、税制上の優遇を行う制度です。
一般の個人投資家の場合は、後ほど詳しくご紹介するFUNDINNO(ファンディーノ)というサービスを通じてエンジェル税制の対象となる企業に投資をした場合、投資した金額に応じて所得税の優遇措置が受けられます。
ファンディーノは簡単にお伝えすると、1社50万円を上限として投資できる株式投資型クラウドファンディングの日本初のサービスで、毎月新しい未上場企業の案件を確認できるサイトです。
なお、個人投資家が実際に所得税の優遇措置を受けるためには、契約を締結してベンチャー企業へ投資してから、契約書などの書類を添付して確定申告をする必要があります。
そしてその際には、投資家側とベンチャー企業側で税制優遇の要件を満たしているかを、経済産業局等に確認してもらう必要がありますので、何でもかんでも受理される訳ではありません。
エンジェル投資をした場合に受けられる優遇措置の詳細
まず、優遇措置には、未上場のベンチャー企業に投資をした時点で受けることができる、①優遇措置Aと、②優遇措置Bがあります。
① エンジェル税制の優遇措置Aについて
まず、優遇措置Aは、創業3年未満の中小企業への投資が対象です(その他ベンチャー企業側には細かい要件があります)。
個人投資家の優遇措置は、対象企業への投資額から2000円を引いた金額が、その年の総所得金額から控除されるというものです。そのため、例えば30万円投資をしたら、29.8万円も控除されます。
ただし、優遇措置Aは寄付金控除制度に該当するため、その分株式の取得原価が減少することになります。そのため、将来的に株式を売却した際にはその分利益も大きくなり、税金が高くなる場合もあります。
なお、控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%と1000万円のいずれか低い方になります。
② エンジェル税制の優遇措置Bについて
続いて、優遇措置Bは、創業10年未満の企業への投資が対象です(その他ベンチャー企業側には細かい要件があります)。
個人投資家への優遇措置としては、対象企業への投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除できるというものです。こちらについては、控除対象となる投資額の上限もありません。
優遇措置Aの要件を満たす場合、個人投資家は確定申告の際に優遇措置AとBのどちらを利用するかを選ぶことができます。
エンジェル投資の損失は他の譲渡益と損益通算が可能
他にも、ベンチャー企業の株式を売却した時点でも、通常の株式売買と同じように損益通算が可能です。
株式を売却した際に損失が発生した場合は、その年の他の株式譲渡益と相殺することができます。また、その年に相殺しきれなかった場合でも、翌年以降3年間繰り越して相殺することも可能です。
このように、優遇措置があるものの、エンジェル税制は企業側も個人投資家側も様々な要件をクリアしている必要があるため、若干仕組みが複雑です。
ですので、FUNDINNOなどのサービスを利用せず、個人でエンジェル投資をする場合は、無料の税理士紹介エージェントなどで税理士を紹介してもらい、きちんと税理士に相談されるのが一番良いでしょう。
一般の個人投資家がエンジェル投資をする方法
先ほどもお伝えしましたが、一般の個人投資家がエンジェル投資をするには、FUNDINNO(ファンディーノ)という、株式投資型クラウドファンディングサービスを利用されるのが良いでしょう。
株式投資型クラウドファンディングとは、ベンチャー企業が非上場株式を発行することで、インターネット上を通じて多くの人からお金を集める仕組みです。
未上場のベンチャー企業の1社あたりの年間募集金額の上限は、1億円未満となっています。また、個人投資家側の、1社に対する年間投資金額の上限は50万円となっています。
FUNDINNO案件には既にエンジェル税制対象となった企業が存在
なお、FUNDINNOで紹介されている企業が、すべてエンジェル税制の対象となる訳ではありません。
しかし、実際にエンジェル税制の対象であると確認を受けた企業が既にあります(2018年2月26日時点)。
- Bank Invoice株式会社
- 株式会社オールユアーズ
- 株式会社MOSO Mafia
このように実際にファンディーノに掲載される案件には、エンジェル税制の対象となった企業があります。そのため、エンジェル投資を検討されている方には利用が適しているサービスです。
ただし、ファンディーノは無料の口座開設時に審査があります。基本的には満20才以上で、金融資産が300万円以上あり、投資経験が1年以上ある方向けのサービスです。
そのため、これまでに投資経験があり、ある程度お金があってベンチャー企業支援などに関心のある方は、まずはファンディーノに無料の口座開設をされてみてはいかがでしょうか?
未上場企業への投資ならエメラダエクイティの併用も一手
なお、2016年には未上場企業への投資サービスはファンディーノしかありませんでしたが、2017年にはエメラダ・エクイティという株式投資型クラウドファンディングサービスも始まりました。
こちらは、すでにプロ投資家(ベンチャーキャピタルなど)が投資した案件に、相乗りで投資をできるサービスです。また、直接株式に投資するわけではなく、エメラダ型新株予約権を取得する形になります。
筆者は、未上場企業への投資に関心があるため、ファンディーノもエメラダエクイティも両方に口座開設(無料)をしていますが、現状は業歴が長いファンディーノの方が案件は多い状態です。
ただし、取り扱っている案件はそれぞれ異なりますので、未上場企業への投資に関心のある方は、両方に登録しておくのも一手です。
ファンディーノもエメラダ・エクイティも登録無料
ファンディーノもエメラダ・エクイティも、両方とも登録は無料で、口座維持手数料も無料です。ただし、両方とも案件の募集が始まると、ものの数分で資金が集まってしまうのが通常です。
そのため、事前に無料登録しておかないと、いざ投資しようと思った時に投資ができないという事態が発生します。
ですので、ベンチャー企業への投資に関心のある方は、いつでもファンディーノやエメラダ・エクイティを通じて投資できるように、あらかじめ無料口座開設だけは完了させておくのがおすすめです。
なお、現在はエメラダ・エクイティの案件はほとんどないため、基本的にはファンディーノを利用するのがおすすめです。