株式投資型クラウドファンディングのファンディーノで、すでにエクジットした案件について分析してみました。なお、今後も随時イクジット案件が増えたら追記しようと考えています。
ファンディーノのこれまでの資金調達の成功案件については、こちらの記事でご紹介しています。筆者もファンディーノの取り扱い案件の中の一つである、株式会社nommocに投資をしています。
ファンディーノのイクジット案件とは?どのような場合に発生するのか?
【公式サイト】https://fundinno.com/
株式投資型クラウドファンディングのファンディーノで案件がイクジットする場合は、基本的に以下の3つのパターンと言えます。
- 投資先のベンチャー企業の株を他の株主に買い取られる
- 投資先のベンチャー企業が他の会社にM&Aされる
- 投資先のベンチャー企業がIPOする
一番最後のIPOが一番難易度が高く、一番最初の他の株主に買い取られるのが一番難易度は低いと言えるでしょう。実際にExitした案件も他の株主に買い取られたパターンで、1株500円で投資できたところ750円で他の会社に買い取られました。
こちらは最高金額の50万円を投資していれば、75万円になっていますので、およそ利回りは35%程度といったところでした。ただし、もし仮にまだ時価総額の低いベンチャー企業の時代に投資をすることができており、無事にユニコーンレベル(時価総額1000億円規模)でIPOを達成した場合、投資家は大きなリターンを得られることは確実です。
例えば、国内ではベンチャー企業であった初期のメルカリに投資をした、上場企業のユナイテッド株式会社は、3億円の投資資金を120億円にしたと言われています。およそ40倍のリターンですので、なかなか通常の投資では巡り会えない投資先だったと言えるでしょう。
ファンディーノでM&Aされた株式会社漢方生薬研究所とは
ファンディーノでイクジット案件となった株式会社漢方生薬研究所は、一体どのような会社だったのでしょうか。まずは会社概要から確認します。
- 会社名:株式会社漢方生薬研究所
- 代表者氏名:代表取締役 橋口 遼
- 本店所在地:福岡市中央区天神三丁目1番12号北天神ビル6階
- 資本金:9,000,000円(平成29年11月17日現在)
- 発行済株式総数:990,000株(平成29年12月18日現在)
- 発行可能株式総数:10,000,000株
- 設立日:平成27年12月1日
- 目的
- ①健康食品、化粧品、医薬品、食品及び雑貨等の卸、小売及び通信販売
- ②広告の企画及び制作
- ③インターネットWeb情報サービスの運営及び保守管理
- ④出版物の企画、執筆、編集及びデザインに関する業務
- ⑤著作物及び出版に関する管理業務
- ⑥食品販売店及び飲食店の企画、デザイン、運営、管理及び経営
- ⑦前各号に関するコンサルティング業
- ⑧前各号に付帯又は関連する一切の業務
- 決算日:11月30日
ぱっと見着実に利益を出そうな事業をやっているなという印象でしたが、具体的にはどのような事業をやっているのか、詳しくみていきます。ファンディーノの公式サイトには以下のような記載があります。
「自身の体質を改善する」という東洋医学の考えを用いた、漢方製剤の医薬品をネットで販売しており(弊社取扱い製剤は、全て厚生労働省認可済み)、 ユーザーが自分の体質を理解し、それに見合った漢方を判断できるよう、DNA解析を用いました。これにより、予防医療をネットを通じて行える仕組みをつくりました。
この一文をみても、インターネットに力を入れている会社のように感じました。
株式会社漢方生薬研究所のプロダクトや強み、経営陣メンバーを確認
株式会社漢方生薬研究所では7商品を販売していますが、代表的なプロダクトが公式サイトで紹介されています。プロダクトや強み、経営陣の経歴などを確認してみます。
プロダクトのジェネラックとイツラック
「ジェネラック」というDNA解析キットを販売しています。
ジェネラックでは「糖質代謝」「タンパク質」「脂質代謝」のリスクを調べることが出来ます。この解析結果をもとに、太りやすい食事や効果的な運動方法などが分かり、それに見合った漢方やサプリを選ぶことができます。また、「イツラック」という、胃痛、胃炎、胃酸過多に効く指定医薬部外品も販売しています。
DNA研究機関「DNA FACTOR」との共同研究開発
株式会社漢方生薬研究所は遺伝子研究機関「DNA FACTOR」とDNA検査の共同研究開発を進めており、今後、予防医療での応用やユーザーが自らの体を知る仕組みを世の中に普及させたいと考えているとのことです。DNA FACTORは国内で初めて国内検査機関を持った遺伝子検査業者です。
ネットで商品を売るノウハウを国内大手EC運営会社より継承
年商50億円の実績を持つ、国内大手の健康食品EC運営会社「株式会社ココシス」で販売コンサルティングを行ってきたノウハウを、ネット販売にも応用しています。
また、にんにく卵黄や青汁で有名な「株式会社やずや」の矢頭社長が代表理事をつとめるDMW(ダイレクトマーケティングワークショップ)九州という勉強会組織の理事を、代表が兼任しています。このようにデジタルマーケティングに力を入れている部分も強みと言えるでしょう。
会社の経営陣やメンバーの確認
代表取締役は橋口 遼氏です。株式会社ココシス入社後、コンサルティング業務に従事し、グループ内で通信販売事業のさくらフォレストに転籍し、2014年株式会社ステイゴールドを起業。同年、株式会社ココシス 取締役就任し、2015年株式会社漢方生薬研究所を設立して、代表取締役に就任しています。
株式投資型クラウドファンディングでのExit案件の見極め方
正直なところ今回の事例だけでは、株式投資型クラウドファンディングのExit案件の見極め方を検討するのが非常に難しいです。
きちんと利益が出る体質になっている会社であれば、IPO確率は高まるものの、それだけが全てではないでしょう。今のところはExit案件が少なく、共通化できるレベルではありませんので、今後Exit案件が増加してきたら再度共通項をさぐっていきたいと考えています。