筆者は毎週ビットコインに10万円ずつ積立投資をしています。これはツイッターの創業者であるジャックドーシーが毎週1万ドル(約100万円)を積立投資していることにならって行なっています。
そこでこの記事では、筆者がビットコインが価値を持つと考えている理由や今後の将来性について検討した投資判断をご紹介します。
ビットコインが価値を持つ理由とは何か

ビットコインが価値を持つ理由とはなんなのでしょうか。
ビットコインが価値を持つと言われている所以
一般的には、ビットコインの背景にあるテクノロジーである「ブロックチェーン」によって、ビットコインという決済システムが書き替えられたり、ハッキングされないようになっているセキュリティの強固さを、価値の裏付けとする意見があります。
他には、ビットコインの「Proof of work(プローフ・オブ・ワーク)」という、マイナーがビットコインを採掘して報酬を受け取り、ビットコインの取引を承認する仕組みが、価値の裏付けであるとする意見などが多いようです。
ビットコインの公式サイトの見解
ビットコインは、通貨のように役立つものなので、価値があります。
ビットコインは、物質的なもの(金や銀のようなもの)や中央権力への信頼(不換通貨のようなもの)が達成するようなものではなく、数学的な特性に基づいた通貨の特徴(耐久性、ポータビリティー、代替可能性、希少性、分割可能性、および認知度)を達成するものです。つまり、ビットコインは数学に裏付けられたものです。
こうした特性を持ち、価値を持つ通貨になるために必要なものは、信頼と採用です。ビットコインの場合は、ユーザー、業者とスタートアップの増加で、これを測ることができます。通貨としてのビットコインの価値は、それを支払いとして承諾する人々の存在によってのみ生まれるのです。
出典:bitcoin.org
上記はビットコインの公式サイトからの引用です。こちらを踏まえて考えると、ビットコインの価値は、ビットコインに関わる人々が増えるほど高まっていくことになります。
- ビットコインを保有する人
- ビットコインを取り扱う業者(ビットコインのウォレット業者や仮想通貨の売買業者など)
- ビットコイン関連サービスを提供するスタートアップ(日本で言えばVALUなど)
- ビットコイン支払いを受け付ける店舗やオンラインショップ など
つまり、上記のようなビットコインに関わる人々や企業、サービスが増加すればするほど、ビットコインの価値が高まっていくことが予想されるのです。
ビットコインにはFacebookなどのようなネットワーク効果が働く

要は、ビットコインには、SNSのようなネットワーク効果が働くということです。
ネットワーク効果とは、顧客が増えれば増えるほど、ネットワークの価値が高まり、顧客にとっての便益が増すことをいいます。つまり、FacebookなどのSNSサービスと似ているのです。
FacebookなどのSNSは、使っている人が多ければ多いほど、人々はそちらのSNSを利用しようと思います。他にも、日本でLINEが普及しているのは、日本人の多くがLINEを使っているからです。
例えば、中国ではWechatというSNSが一番普及していますが、それは多くの中国人がWechatを使っているからです。ですが、日本でWechatを使っている人は多くないです。
このようなネットワーク効果が働く業界に後発のSNSサービスが参入して、それを普及させるのは非常に大変なのです。
ビットコインは人々に使われない限り価値を持たない

もちろん、ビットコインの開発コミュニティなど、仮想通貨の技術力それ自体も大切です。
しかしながら、上記のような観点から考えると、必ずしもテクノロジーだけがビットコインの「価値の源泉」ではないことが分かります。もし仮に、テクノロジーが仮想通貨の価値の源泉だとした場合、長期的には、技術的に優れたコインに一番価値がつくことになります。
ですが、仮想通貨にはネットワーク効果が働きますので、どんなに技術的に優れたコインであろうと、それが使われない限りは価値を持ちません。
例えば少々乱暴な例ですが、非常に機能面は優れているけれども使っている人が少ないSNSと、機能面は普通だけれども使っている人が世界中にたくさんいるSNSとでは、人々はどちらのSNSを利用したいと思うでしょうか?
この例からもわかるように、どんなに技術が優れていても、それを使いたい人が多く出てこない限り、その仮想通貨に価値は出ません。従って、基本的にはその仮想通貨はどれだけ多くの人に使われるのか?が重要になってきます。
そして、多くの人に使われるようになった仮想通貨には、結果として優秀な技術者もついてくると考えた方が妥当でしょう。
ビットコインが使える場所は増えていて今後も増えていく
出典:coinmap
それでは、そんなビットコインを利用できる場所は、実際に増えていっているのでしょうか?
日本では、例えばビックカメラやマルイ、HISなどでも利用できるようになりました。また、世界的にもビットコインが使える場所は、徐々にではありますが増えています。
- 2013年11月:562箇所
- 2014年11月:5,054箇所
- 2015年11月:6,951箇所
- 2016年11月:7,914箇所
- 2017年11月:10,542箇所
2017年に日本では仮想通貨の法律が制定された

もともとはビットコインは、日本ではなくアメリカやヨーロッパで利用できる場所の普及が進んでいました。ですが、2017年に日本で仮想通貨の法律(改正資金決済法)も施行され、利用できる場所はかなり増加しています。
このまま引続きビットコインが使われる場所が増えていけば、ビットコインの価値が増すことは予想されます。ですが、ここで一点考慮すべきなのは、2017年8月1日に、ビットコインから「ビットコインキャッシュ」が分岐したという点です。
これは当初のビットコインの論文が発表された時点では、おそらく想定されていなかった事態です。ですので、単純にもともとの「ビットコイン」の価格が今後このまま上昇していくのかはわかりません。
したがって、より多くの人々に信頼され、様々な企業に採用された仮想通貨の方に、利用が移る可能性はあります。もちろん、現状はビットコインが仮想通貨界の基軸通貨であり、ビットコインの関連サービスが大多数です。そのため、ビットコインの価値がいきなり揺らいでしまうことは考え辛いです。
しかしながら、長い目で見た時には、ビットコインに変わる仮想通貨が誕生している可能性もあるかもしれません。それがビットコインキャッシュなのかは不明ですが、可能性の一つとしてはあるでしょう。
ビットコインが買える場所は増えていて、今後も増えいていく
- 関東財務局長第00001号:株式会社マネーパートナーズ
- 関東財務局長第00002号:QUOINE株式会社
- 関東財務局長第00003号:株式会社bitFlyer
- 関東財務局長第00004号:ビットバンク株式会社
- 関東財務局長第00005号:SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社
- 関東財務局長第00006号:GMOコイン株式会社
- 関東財務局長第00007号:ビットトレード株式会社
- 関東財務局長第00008号:BTCボックス株式会社
- 関東財務局長第00009号:株式会社ビットポイントジャパン
- 関東財務局長第00010号:株式会社DMM Bitcoin
- 関東財務局長第00011号:TaoTao株式会社
- 関東財務局長第00012号:Bitgate株式会社
- 関東財務局長第00013号:BITOCEAN株式会社
- 関東財務局長第00014号:コインチェック株式会社
- 関東財務局長第00015号:楽天ウォレット株式会社
- 関東財務局長第00016号:株式会社ディーカレット
- 近畿財務局長第00001号:株式会社フィスコ仮想通貨取引所
- 近畿財務局長第00002号:テックビューロ株式会社
- 近畿財務局長第00003号:株式会社Xtheta
ビットコインはインターネット上の仮想通貨の取引所で、法定通貨(ドルやユーロ、円など)との交換が可能です。
世界的にも仮想通貨の取引所は増えていますが、日本でもますます取引所は増えることが予想されています。日本では2017年に仮想通貨に関する法律がきちんと制定され、仮想通貨の売買業者として金融庁に登録済みの業者一覧が発表されました。
このように仮想通貨を取り扱う業者が増えれば増えるほど、ますます仮想通貨の価値が高まっていく可能性は高いでしょう。
ビットコイン価格のこれまでの推移と今後の予想
出典:coinmarketcap
ビットコインの価格は当初0.07円でしたので、現在の価格と比較するとものすごい上昇しています。また、2013年から2017年の4年間を確認して見ても、なんと70倍近く上昇しています。
そんなビットコインの価格は、需要と供給によって決められています。
ビットコインの需要が高まれば、価格が上昇します。そして需要が減れば、価格も下降します。
市場に出回るビットコインの数には限りがあり、新しいビットコインの数は予想可能で、速度を落としながら作られています。つまり、価格を安定させるには、需要がこのインフレーションレベルに追従しなければならないのです。
なぜなら、ビットコインは、その可能性に比べてまだ比較的小さな市場で、市場価格を左右するために多額の通貨を必要とせず、従ってビットコインの価格はとても不安定だからです。
出典:bitcoin.org
ビットコインの価格は乱高下しながらもその価値は上がり続けていますが、価格については様々な予想が出ています。
ビットコインの価格=ユーザー数×平均保有額という考え方

例えば、Snapchatの最初の投資家であるジェレミー・リー氏は、ビットコインの時価総額は、ビットコインのユーザー数×平均保有額で決まると述べています。
2017年のビットコインユーザー数は約650万人と言われていましたが、2030年には世界人口の5%を占める4億人にユーザー数は増加すると、ジェレミー・リー氏は述べています。
そうなると、一人当たり2万5000ドル相当のビットコインを保有しているという想定であれば、1ビットコインは50万ドルにもなることになります。
さすがに日本円にしてビットコインが5000万円にもなるかは不明ですが、ビットコイン価格については、経済界の大物によっても考え方が分かれています。
ビットコインに対して否定的・中立的・肯定的な意見
出典:Tech in Asia
例えば、シリコンバレーの大手ベンチャーキャピタルである、アンドリーセンホロウィッツ創業者のマークアンドリーセン、アリババの創業者ジャックマー、マイクロソフトのビルゲイツなどのインターネット業界の大物達は、ビットコインに対してポジティブな評価をしています。
一方で、世界一の投資家であるウォーレン・バフェットは、「ビットコインはバブルである」と発言しています。また、大手外資系投資銀行のJPモルガン証券CEOのジェイミーダイモン氏は「ビットコインは詐欺である」と発言し、ビットコインに対して非常に懐疑的であるようです。
ただし、同じく大手外資系投資銀行のゴールドマン・サックス証券CEOのロイドブランクファイン氏は、ビットコインに対して非常に中立的な姿勢を示しています。
ゴールドマン・サックス証券自体もビットコイン関連事業への参入を表明していますので、本格的に金融機関がビットコインの指数に連動した金融商品などを販売する日も、もしかしたら近いのかもしれません。
ビットコインの価値に対する良くある批判

ちなみにビットコインの価値に対して、よくある批判には下記のようなものがあります。
- ビットコインは一部の限られた人々にしか使われないため、価値をもたない
- ビットコインはボラティリティが高く決済手段として適していないため、価値をもたない
まず、ビットコインが一部の限られた人々にしか使われないという批判は、数年前であれば成り立ったのですが、もうすでに世界中の多くの人々や企業に使われ始めてしまっているという事実があります。
ビットコイン取引所の口座開設数、ビットコインが使える場所、ビットコイン決済を受け付けた世界的な大企業(マイクロソフトなど)、ビットコイン関連サービス提供業者の数、これらのどれもが増えている状況です。
日本に目を向けただけでも、仮想通貨の交換業者の参入数は2017年から増加しており、今後も増加が見込まれています。
ビットコインへの信頼が崩壊しない限り、価値は上がり続ける

そして、世界的にビットコインの取引高は増え続け、時価総額も伸び続けています。
ですので、ビットコインのシステムに何かしらの重大な欠陥が見つかったりして、ビットコインへの「信頼」が崩壊しない限り、この仮想通貨市場の成長が止まることはないでしょう。
また、ビットコインはボラティリティが高いために、決済手段として使われないという批判があります。
ですが、大事なのはビットコインを決済手段として世界中に普及させることよりも、世界がビットコインを実際に使える状態であることです。
ビットコインには通貨として成り立つための三つの基本機能が必要

ビットコインが「通貨」として成り立つためには、経済学上では「価値の尺度」「価値の保存」「交換の手段」の三つの機能が必要です。そのどれか一つでもかけていれば、「ビットコインは通貨として成り立たない」という批判が可能です。
しかしながら、現在ではビットコイン建てで購入できる商品が世界中に生まれており、ビットコインに価値の保存機能があるとみなして、ビットコインで資産運用をする人々が数多く生まれています。
また、たとえビットコインの送金手数料が高くなろうが、ボラティリティが高かろうが、世界が「ビットコインを法定通貨や物品・サービスと交換できる状態」であり続ける限り、ビットコインは通貨としての機能を持つのです。
そのため、今後もビットコインは価値を持ち続けると考えることができるのです。
ビットコイン決済とクレジットカード決済の比較

なお、決済に関しては、現時点でクレジットカードの決済手数料は高く、支払いを受け付ける店舗型に負担があります。そのため、この点に関してはビットコイン決済は手数料が安いため、優位性があります。
また、クレジットカード決済のように、カード情報を盗まれて不正利用されるようなこともないでしょう。ただし、ビットコイン決済の場合は、誰かに不正に利用された際に、チャージバック(取引の取り消し)をすることはできません。
ビットコインを間違ったアドレスに送金をしてしまっても、そのお金を取り戻すことはできないのです。ですので、ビットコインの送金や管理は、完全に自己責任なのです。
また、ビットコインを決済や送金した際に、相手に自分のビットコインのアドレスや残高が判明してしまうという特徴が、ビットコインにはあります。ただし、ビットコインのアドレスは、一人でいくらでも保有することができます。
ですので、常に利用する分だけのビットコインを、ビットコインのウォレット(財布)に移動しておくことも可能です。また、そのアドレスからビットコインを送金するために必要なパスワードである「秘密鍵」がばれない限りは、ハッカーにビットコインを盗まれることはありません。
ただし、この「秘密鍵」については自分で管理しておく必要があります。ですので、このようなビットコインの特性に関しても、ビットコインの世界は完全に自己責任の世界と言えるでしょう。
ビットコインの使い道(送金・決済・投資)

ビットコインの使い道には下記が考えられています。
- 投資(トレードや価値の保存など)
- 送金(国際送金やテレビ越しの送金など)
- 決済(銀行口座を持たない人々向けの決済システムや少額決済サービスなど)
ビットコインが投資の対象や価値の保存対象となるのは、それが通貨の機能を備えているからです。
ですので、そもそもビットコインを使って取引ができたり、送金や決済ができたりしなければ、ビットコインは価値の保存としても成り立たないでしょう。
しかしながら、ビットコインの送金は、現在送金手数料が高騰しているといえど、国際送金をする場合は、まだビットコインの方が安いです。
ビットコインの送金は、国際送金だけではない
また、ビットコインであれば、テレビの向こう側の人に送金することも可能です。
例えば、テレビに映った人が、ビットコインのアドレスがわかる「QRコード」を見せれば、そのアドレスに向けて視聴者がビットコインを送金することもできます。
このような仕組みは、ビットコインでの寄付や支援などにもつながるでしょう。
ビットコインの決済は、店舗の支払いだけではない
実は、これだけ近代化が進んだ現代においても、世界175ヶ国のうち20ヶ国程度しか完全な銀行による決済システムはないようです。
ですので、いまだに銀行口座を持たない人々(Unbanked)が多く存在する地域には、ビットコインがこれから広まる可能性はまだまだあります。
ビットコインは少額から購入や利用が可能
最後に、ビットコインは無限に割り切れるため、0.0001BTCなどの少額の課金が可能です。例えば、インターネットメディアで1記事を読む場合に課金するなどのサービスも可能になります。
EmailやSNSにおいても、少額のビットコインがなければ自分にコンタクトできないようにすることなども可能です。そのため、ビットコインの決済の用途については、店舗決済だけでなく色々と使い道を考えることはできます。
以上のようなことを踏まえると、ビットコインへの投資は十分に理にかなっていると考えることができるでしょう。
ビットコインのシステムそのものが今後崩壊する可能性はある?

ちなみにビットコインのシステムそのものが、今後崩壊する可能性はあるのでしょうか?
そこで続いては、このビットコインの「コア開発者」や「マイナー」、そして「発行上限」などに焦点を当て、ビットコインの崩壊の可能性を検討します。ビットコインの「暴落」について頻繁に話題になります。
ですが、例えば株式投資であっても、株価は上がったり下がったりを繰り返し、長期的に上昇していくことがありますので、「相場」とはそういうものであると言って良いでしょう。
それよりも、ビットコインに投資をする際のリスクとして検討した方が良いことは、ビットコインのシステムが今後崩壊する可能性はあるのか?です。
なぜなら、ビットコインのシステムが崩壊したら場合、ビットコインは無価値となるからです。
ビットコインのシステムの崩壊可能性をプレイヤーから検討する
ビットコインのシステムが崩壊する可能性を検討するためには、ビットコインの世界に存在する「プレイヤー」を見ておく必要があります。
ビットコインの世界に登場する主なプレイヤーは下記になります。
- ビットコインのコア開発者
- ビットコインのマイナー(採掘者)
- ビットコインの事業者(ビットコインの取引所やウォレット提供業者など)
- ビットコインのユーザー
- ビットコインの支払いを受け付ける店舗や企業
これらの全てのプレイヤーがいなくなった時、もしくはこれらのうち複数のプレイヤーが世界から消えた時、ビットコインのシステムは完全に崩壊するでしょう。
しかしながら、短期的にビットコインの価格が下落することはあっても、世界中に波及したこれらのプレイヤーが完全に消え去る可能性は、実際は低いと言って良いのではないでしょうか?
ただし、そうは言っても、例えば「コア開発者」全員がビットコインプロジェクトから抜けてしまう事態などが発生してしまっては危険です。
そうするとビットコインのシステムは非常に不安定になり、ビットコインコミュニティへの信頼も崩壊してしまいかねないからです。
ビットコインのコア開発者とは?

まず、ビットコインのコア開発者とは、世界中に公開されているビットコインのプログラミングコードに基づいて、実際にビットコインの開発を行う人々です。
2008年に匿名のSatoshi Nakamotoが「Peer to Peer Electornic Cash System」という設計書(プログラミングコード)を発表し、それに基づいて有志のエンジニア達が開発を行ってきたことで、現在のビットコインのシステムが稼働するようになりました。
現在はビットコインのプログラミングコードを元に「Bitcoin Core」というソフト(ビットコインのルール)が作成されており、このルールを実際に修正できるのは、ビットコインのコア開発者たちのみとなっています。
だたし、ビットコインのコア開発者が「ビットコインのルール」を決めれるからといって、実際にその「ビットコインのルール」に乗ってビットコインという決済システムを使うかどうかは、ビットコインのマイナーや事業者、ユーザーである私たち次第です。
また、「ビットコインのルール」は決められませんが、ビットコインへの「改善提案」は誰でも提出することができます。この改善提案を「BIP(Bitcoin Improvement Proposals)」と言いますが、これまでにもいくつものBIPが提案されています。
ビットコインのコア開発者とは、具体的に誰なのか?

それではビットコインの著名なコア開発者とは一体誰なのでしょうか? 過去も含めると下記のような著名人がいました。
- ギャビン・アンダーセン(Gavin Andresen)氏
- ジェフ・ガルジック(Jeff Garzik)氏
- マイク・ハーン(Mike Hearn)氏
- グレッグ・マクスウェル(Greg Maxwell)氏
- ピーター・ウィール(Peter Wuille)氏
- エリック・ロンブローゾ(Eric Lombrozo)氏
現在はビットコインに対する思想の違いなどから、ビットコインのコア開発から抜けてしまった人も多くいます。それぞれの方の詳細を下記に記載し、崩壊の可能性を検討してみます。
1. ギャビン・アンダーセン(Gavin Andresen)氏
Bitcoin Cash is what I started working on in 2010: a store of value AND means of exchange.
— Gavin Andresen (@gavinandresen) 2017年11月11日
ギャビン・アンダーセン氏は、1988年にプリンストン大学を卒業後、エンジニアとしての長年のキャリアを歩んでいます。
2011年にビットコインの生みの親である「Satoshi Nakamoto」からビットコインの開発を直接委ねられ、ビットコインのリード開発者として、数多くのビットコインのアップデートを行ってきた人物です。
2012年にビットコイン財団(Bitcoin Foundation)を設立し、2014年にビットコインの開発からは離脱。ビットコイン財団もその後離脱し、2015年にはMIT Digital Currency Initiativeに、他の開発者のコーリー・フィールズ氏、ウラジミール・ファン・デル・ラーン氏などと共に参画しましたが、現在はそちらも卒業しているようです。
ビットコイン財団は、2012年9月に設立されたアメリカの非営利団体。「世界中のユーザーの利益のため、暗号通貨ビットコインの使用を標準化・保護・促進する」という使命のもと、始められた。
なお、ビットコイン財団の設立当初のボードメンバーは、ギャビン・アンドリーセン、ロジャー・バー、マーク・カルプレイス(元マウントゴックスCEO)、ピーター・ヴェッセン、チャーリー・シュレムが在籍していましたが、現在はメンバーが全員変わっており、誰も残っていません。
2. ジェフ・ガルジック(Jeff Garzik)氏
Great list – though I do not claim that $BCH is #Bitcoin … https://t.co/tD8xS3mUib
— Jeff Garzik (@jgarzik) 2017年11月19日
ジェフ・ガルジック氏は、2013年5月〜2014年12月の間にビットコインの開発者として従事した人物です。
2017年に「Segwit2X」を支持していましたが、直前で自身がCEOを務めるBloq, inc.で、ICOによって新しい仮想通貨「metronome」を発行することを表明しました。
2015年からはBloqのCEOであり、BitFury、BitPay、Chain.com、Netki、WayPaver Labsなどのアドバイザリーボードメンバー、2016年からはLinux Foundation役員も勤めています。
3. マイク・ハーン(Mike Hearn)氏
マイク・ハーン氏は、2016年まで約5年間ビットコインプロジェクトに携わった人物です。
現在はビットコインプロジェクトを離脱し、R3(世界最大の金融機関70社以上が参加するコンソーシアム)にて、金融機関向けのオープンソースの分散型元帳プラットフォーム「Corda」の開発に従事しています。
グーグル(スイス)に7年間勤務した経歴を持つエンジニアで、Sky TVやBBC Newsへも出演し、Economist誌はマイクハーンをビットコインの専門家であり、特筆すべき開発者だと何度も紹介していたようです。
マイク・ハーン氏が提唱した「Bitcoin XT」
マイクハーン氏が離脱した原因は、ギャビン・アンダーセン氏と共に提案した「Bitcoin XT」が、他のコア開発者から反発を受けたことにあるようです。
「Bitcoin XT」は「BIP101」の修正バージョンとして、ビットコインの「スケーラビリティ問題」を解決するために、ビットコインのブロックサイズを拡張することを目的とした提案です。
ビットコインのスケーラビリティ問題とは、ビットコインにおけるブロックチェーンのブロックサイズが1メガバイト(MB)に制限されている結果起きている問題です。
1MBの制限のために、ビットコインの取引手数料が上昇したり、取引の処理が遅延したりする問題が生じています。
当時のビットコイン業界には、「BIP101」への賛成者と反対者が存在しました。
BIP101への賛成者(当時)
BIP101には、ビットコイン事業者のBitPay、Blockchain.info、Circle、KnCMiner、Bitnet、Xapo、Bitgoなどが賛成を表明し、マイナーのSlush Poolは率先してBitcoin XTを採用したマイニングプールを解放しました。
他の大手マイナーのBTCChina、Huobi、Antpool、F2Pool、BW.comなども、BIP101へ賛同した訳ではありませんでしたが、8MBのブロックサイズに合意する内容の共同署名を実施したりなどしました。
また、米国大手ビットコイン取引所のCoinbaseは、2015年にビットコインXTを採用すると表明したりもしました(その後、2016年には関係者との協議によってその立場を転換し、反対派のコア開発者と和解したと発表しました)。
BIP101への反対者(当時)
一方、ビットコインコア開発者のGregory Maxwell氏(Blockstream社所属)、Pieter Wuille氏(Blockstream社所属)、Peter Todd氏などは、BIP101へ反対を表明しました。
また、マイクハーン氏によると、bitcoin.orgのサイトと上位のディスカッション・フォーラムの運営者が、フォーラム上で「Bitcoin XT」に触れたポストを削除したり、膨大なユーザーをフォーラムから追放したとのことですので、激しい対立があったようです。
マイク・ハーン氏のビットコインという実験に対する意見
マイク・ハーン氏のビットコインプロジェクト離脱の詳細は、自身の「The resolution of the Bitcoin experiment(日本語はこちら)」というブログに記載されています。
ブログでマイクハーンは「ビットコイン・コミュニティがうまくいかなかったため、ビットコインという実験は失敗した」と述べています。
ビットコインは分散型のマネーになるはずでしたが、実際は「一部の人々によって完全にコントロールされている仕組み」となってしまい、結果としてビットコインが従来の金融システムより優れたものになるという望みは絶たれてしまったとのことです。
こちらの騒動の詳細については憶測するしかありませんが、後日「ビットコインピザ物語」としても語られていたりします。
4. グレッグ・マクスウェル(Greg Maxwell)氏
They don’t call him Bitcoin Jesus for nothing. Maybe he is right after all. Maybe it’s time to throw in the towel. Bitcoin Cash is Bitcoin. https://t.co/bN3AWPmNsu
— Greg Maxwell (@nullc_) 2017年10月18日
続いて、Greg Maxwell氏は、2014年にAdam BackやAustin Hillと共にBlockstream(ブロックストリーム)社を設立し、現在同社のCTOを務める人物です。ビットコインのスケーラビリティ問題を解決するための技術である「Segwit」の支持者の一人です。
マイク・ハーン氏いわく、Gregory Maxwell氏は「ビットコインが成立し得ないことを数学的に証明した」と主張したことがあり、Satoshi Nakamotoのオリジナルバージョンに信用をおかなかった人物とのことですので、この辺に対立があったことが伺えます。
しかし、上記のツイッター上での発言のように、現在は2017年8月1日に「ビットコイン」から分派し、ブロックサイズを1MBから8MBに拡張させた「ビットコインキャッシュ」を認めているようにも見受けられます。
5. ピーター・ウィール(Peter Wuille)氏
I know of no patents that apply to SegWit, and Blockstream has not filed for any.
— Pieter Wuille (@pwuille) 2017年5月1日
続いて、Peter Wuille氏もBlockstream社の社員で、2015年12月にEric Lombrozo氏とDr. Johnson Lau氏と共に「SegWit」のプロトコルを「BIP141」を提案した人物です。
6. エリック・ロンブローゾ(Eric Lombrozo)氏
I’m so glad such great and trustworthy people are willing to take on this huge responsibility. https://t.co/IkZln3DgqO
— Eric Lombrozo (@eric_lombrozo) 2017年11月15日
最後に、Eric Lombrozo氏はCiphrex Corp.のCEO兼CTOで、先ほどのPeter Wuille氏と共に「Segwit」を支持した人物です。その他の著名なコア開発者には、Luke Dashjr氏(Blockstream社の社員)やPeter Todd氏などがおり、共に「Segwit」を支持しています。
コア開発者の動向から検討するビットコイン崩壊の可能性は?

以上のように、これまではコア開発者の間でも色々と対立があったようですが、現在のコア開発者のメンバーには「Blockstream社の社員」が多くなっています。
また、2017年8月1日にビットコインから「ビットコインキャッシュ」が分派し、ブロックサイズの拡張派(ビックブロック派)がコア開発者のコミュニティから離脱したことで、現状のビットコインのコア開発者達の目指す方向性は「Segwitを支持する」という点で、一致しているようには見受けられます。
さらに、Blockstream社は、下記のようなベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から総額76百万ドルもの調達をしています。
- AME Cloud Ventures
- AXA Strategic Ventures
- Blockchain Capital
- Digital Currency Group
- Digital Garage
- Future\Perfect Ventures
- Horizons Ventures
- Innovation Endeavors
- Khosla Ventures
- Mosaic Ventures
- Real Ventures
- Reid Hoffman
- Seven Seas Venture Partners.
ですので、いきなりBlockstream社が倒産し、コア開発者のコミュニティが崩壊するという可能性も低いのではないでしょうか。
一部ツイッター上では、元々のコア開発者たちが「ビットコインキャッシュ」を支持するような発言をしたりしていることで、状況が若干複雑にはなっています。
ですが、「ビットコイン」と「ビットコインキャッシュ」それぞれが別の道を歩む可能性もあります。
ですので、コア開発者の観点から検討する限りでは、そもそものビットコインシステムに重大な欠陥が見つかったり、新しく実装されたSegwitにどうしようもない欠陥が見つかったりしない限りは、ビットコインのシステムは崩壊しないと考えられます。
続いて、ビットコイン業界の主要なプレイヤーである「マイナー(採掘者)」がいなくなる可能性を検討してみます。
ビットコインのマイナーとは?

まず、ビットコインのマイナー(採掘者)とは、ビットコインのマイニング(採掘)を行う人のことをさします。マイニングとは、ビットコインの取引が適正になされているかを確認するための承認作業です。
そしてマイナーは、マイニングの報酬としてビットコインを手に入れることができます。そしてその報酬としてのビットコインは、約4年ごとにおとずれる「半減期」によって、半分に削減されるシステム設計となっています。
ビットコインの半減期とは
- 2008年当初:1ブロックあたり50BTC
- 2012年11月:1ブロックあたり25BTC
- 2016年7月:1ブロックあたり12.5BTC
- 2020年5月:1ブロックあたり6.25BTC
ビットコインのシステムが稼働した初期には、個人でPCでマイニングを行うことが可能でした。しかし、現在では専用のハードウェア(ASIC機)を何千台も束にしたファーム(工場)でないと、ビットコインを採掘することが出来なくなっています。
そしてそのビットコインのマイニングファームの多くは、電気代や初期投資が安い中国企業となっています。なお、過去にはマイナーによる51%攻撃について話題になりましたが、現在は経済合理性の観点から、発生する可能性はほぼ無いと言われています。
マイナーによる51%攻撃とは
51%攻撃とは悪意のあるグループまたは個人により、ネットワーク全体の採掘速度の51%(50%以上)を支配し、不正な取引を行うことです。
一人のノードが全体が持つ計算量の過半数を支配し(1)不正な取引の正当化 (2) 正当な取引の拒否 (3) 採掘の独占を行うことが可能となります。現在 51%攻撃に対する有効な対策はありません。
攻撃者は 51%攻撃を行ったとしても期待値以上の利益を得ることがないことを知っているためノードは 51%攻撃を行わないと考えられています。
51%攻撃の脅威により、ビットコインの安全性が確保できないため、ビットコインの価値が下がる。攻撃者は価値が下がったビットコインを不正に得ても利益につながらないので攻撃は行われないとされているからです。
出典:bitFlyer
さて、それではビットコインのマイナーには、具体的にどんな企業があるのでしょうか?
ビットコインのマイナーの具体的な企業リスト
ビットコインのマイナーには、例えば下記の企業が確認されます。
- AntPool(18.1%)
- BTC.com(16.2%)
- ViaBTC(14.5%)
- BTC.TOP(12.4%)
- SlushPool(9.5%)
- F2Pool(7.9%)
- BitFury(4.2%)
- BTCC Pool(3.7%)
- BW.COM(3.2%)
- SBCOIN(2.3%)
- BitClub Network(2.3%)
- Bixin(1.5%)
- GBMiners(1.3%)
- 1Hash(1%)
- KanoPool(0.8%)
- Solo CKPool(0.5%)
- Bitcoin.com(0.2%)
- DCEX(0.2%)
- Waterhole(0.2%)
代表的なマイニングの企業をいくつか見ていきます。
1. AntPoolとBTC.comとは?

まず、AntPoolとBTC.comというマイニングプールは、両方とも中国企業のBitmain社が運営しています。Bitmainの創業者は2009年に北京大学を卒業したJihan Wu氏です。Jihan Wu氏は「ビットコインキャッシュ」の支持者として広く知られています。
BCH community needs to learn a hard lesson. Be friend with other competing coins, learn from them, and make BCH better. Don’t play hatred, don’t wish competing coins ill. Just wish and try to make BCH better.
— Jihan Wu (@JihanWu) 2017年11月10日
なお、AntPoolが採掘している仮想通貨のリストは下記です。
- BTC
- BCH
- LTC
- ETH
- ETC
- DASH
- Zcash
マイナーは長期的に価値が上昇すると考えている仮想通貨を掘る可能が高いと考えれるため、上記のコインに投資するのは戦略としてありうるでしょう。
2. ViaBTCとは?
ViaBTCは2016年5月に中国に設立された新しいマイニングプールで、創業者は2012年に大学を卒業し、Tencentでキャリアを積んだハイポ・ヤン氏です。なお、ViaBTCはBitmain社から30万ドルの資金調達を実施しています。
ViaBTCが採掘している仮想通貨は下記です。
- BTC
- BCH
- LTC
- DASH
- Zcash
3. BTC.TOPとは?
“Bitcoin Gold — just another ICO scam with 200,000 coins pre-mined” https://t.co/j3hgAMow7L
— Jiang Zhuoer BTC.TOP (@JiangZhuoer) 2017年10月23日
続いて、BTC.TOPも中国企業になります。CEOはJiang Zhuoer氏で、ビットコインから分派した「ビットコインゴールド」に対しては否定的な見方をしています。
なお、この上位4社の中国マイナーのシェアだけを合計しても60%を超えていますので、現状ビットコインは中国のマイナーによってほとんど採掘されてしまっていると言っても過言ではないでしょう。
4. Slush Poolとは?
続いて、SlushPoolは2010年に創業された、チェコのマイニングプールです。
創業者はJan Čapek氏で、Slush Poolは当初Bitcoin XTを支持したマイニグンプールですが、そのことでDDOS攻撃を受けた経緯があったせいかは不明ですが、現状BCHを採掘していると表明はしていません。
- BTC
- Zcash
5. F2Poolとは?
BCH eclipses BTC, as we are switching the pool to the new altcoin. Miners will still be paid in BTC, but only a lot more. Enjoy! pic.twitter.com/GBZY5UGXjg
— Wang Chun (@f2pool_wangchun) 2017年8月22日
最後に、F2Poolも中国の企業で、創業者はワン・チュン(WANG CHUN)氏です。
ビットコインのブロックサイズ拡張を支持するビックブロック派ですが、ビットコインに実装された新しい技術の「Segwit」も支持しており、現状はBCHをマイニングしてないと表明しています。
- BTC
- ETH
- ETC
- LTC
- ZEC
- SC
- DASH
なお、マイニングプールの特徴はSiacoin(通貨単位:SC)を採掘している点です。
以上、代表的な5社を確認して見ましたが、他にもアイスランドに拠点を置く「Bitfury」は、近年東京にオフィスを開設したり、日本のSOMPOホールディングスとも提携しているようです。続いて、ビットコインキャッシュのマイナーを確認してみます。
ビットコインキャッシュのマイナーの具体的な企業リスト

ビットコインキャッシュの現状のマイナーは下記になります。
- Bitcoin.com(14.9%)
- ViaBTC(11.1%)
- BTC.top(10.6%)
- AntPool(9.3%)
- BTC.com(6.3%)
- BitClub(1.3%)
- Suprnova(1.3%)
- Multipool(0.7%)
- BTCC(0.1%)
- Other(44.4%)
実はビットコインキャッシュのマイナーは、ビットコインのマイナーと顔ぶれはあまり変わりません。
特徴的なのは「ビットコインキャッシュ」を支持している、ビットコインエバンジェリストのロジャー・バーがCEOを務める「Bitcoin.com」がビットコインキャッシュの採掘をしていることや、「Unknown」のマイナーのシェアが40%以上も存在することでしょう。
なお、日本の企業でもSBIグループやGMOインターネットグループが、ビットコインキャッシュのマイニング事業を開始することを表明しています。
DMMグループもマイニング事業を始めることは表明していますが、具体的にどの仮想通貨をマイニングするかは表明していませんが、今後同じように「ビットコインキャッシュ」の採掘を始める可能性はあるかもしれません。
ビットコインのマイナーがいなくなる可能性は?
以上のように、現状は中国企業がビットコインをメインで採掘している状況ではあります。ですが、今後は日本企業もマイニング事業へ参戦することが決まっています。
そのため、ビットコインやビットコインキャッシュのマイニングをする企業が、急に全ていなくなってしまうような可能性は低いでしょう。
従って、今の所ビットコイン投資においては、そこまでマイナーのリスクを気にする必要も無いでしょう。
ビットコインはもう終わり?ビットコインの発行上限について

ちなみに、ビットコインは発行上限に達したら終わりなのでしょうか?
それとは別にも、2014年ごろから毎年のように、経済学者や金融業界の有識者達に「ビットコインはバブルだ」と言われ続けています。
そして遂には「ビットコインは終わった」と言われることも良くありますが、本当にビットコインはもう終わりなのでしょうか?
まず、ビットコインはもう終わりという話では、「ビットコインは発行上限に達したら、マイニング(採掘)されなくなって終わる」という論説を時折見かけます。
ビットコインには、2100万枚という発行上限があります。そして、現状はビットコインの採掘者(マイナー)の専用の計算機で、ビットコインが常に採掘されています。
マイナー達はビットコインの取引を承認する(マイニングする)ことで、その報酬として、新しくビットコインをもらっています。ですので、現状マイナー達には、引き続きビットコインをマイニングするインセンティブがあるのです。
しかしながら、最終的にビットコインが発行上限に達した時はどうでしょうか? そこで、マイナー達がビットコインを採掘するインセンティブがなくなるのではないか?、という指摘があります。
2140年ごろに、ビットコインは発行上限2100万枚に達する
実は、ビットコインが発行上限に達するのは、大体2140年ごろと予想されています。
しかし、恐らく多くの人はその時代に生きていませんので、あまりそこについて深く考える必要性もないようには思われます。また、マイナーがもらえる報酬は、ビットコインの採掘報酬だけではありません。マイナーは、ビットコインの送金依頼者が払う「送金手数料」ももらえるのです。
そのため、2140年以後は大規模なビットコインのマイニング事業者はいなくなるでしょうが、個人のPCでビットコインを採掘する人は、引き続き残る可能性はあります。さらに、今から100年後の話ですので、それまでにはさらに新しい技術的革新などが起きると考える方が自然です。
より良いお金の仕組みが普及していると考えても良いかと思いますので、その点は考慮せずにビットコインの将来性を検討してみるのが良いでしょう。
よく言われる、ビットコインの問題点について

続いて、例えば元日本銀行出身の中島氏が執筆された「アフター・ビットコイン」という本では、明確に「ビットコイン終わった」とされています。
本書では「一部の人が多くのビットコインを保有している」「一部の人がビットコインの取引の承認作業と、それによる報酬を独占している」など、ビットコインの問題点が指摘されています。
一部の人が、多くのビットコインを保有しているのは本当に問題?
出典:Bitcoin distribution
まず、ビットコインの保有状況については、現状1%以下のアドレスが90%近くのビットコインを保有しています。ですので、確かに一部の人が、多くのビットコインを保有している状況となっています。
ただし、このような状況は仮想通貨の世界だけでなく、現実の世界でも同じです。現実の世界でも富の約半分は、1%の富裕層によって占められていると言われています。
富の偏りの状況は、現実世界よりも多少マシ
従って、このような富の偏りの状況は現実世界と同じ、むしろ現実世界よりかは幾分かましとも言えるでしょう。
ビットコインの場合は、ビットコインの将来の可能性にいち早く気づいた人が保有していき、先行者利益を得ている状態です。
それではどんな人が最初にビットコインを購入していたかと言うと、おそらく大量保有者の多くは中国人や米国人でしょう。
ビットコインは、本当に中国人の通貨と言えるの?
出典:cryptocompare
この点に関してですが、確かに大量保有者は、恐らく2009年の公開当初から購入していた米国人や中国人が多いとは思われます。
ですが、現在のビットコインの取引を牽引しているのは、日本人です(正確に言うと「日本円」です)。
つまり、ビットコインの大量保有者には米国人や中国人が多いのかもしれませんが、現在実際にビットコインの取引をしているのは、日本人なのです。
2017年に中国ではビットコインの取引所が禁止されたこともあり、ビットコイン取引の主要通貨はUSDとJPYです。
そもそも世界的にみても米国、中国、日本はGDPも大きく富裕層も多い国ですので、いわば世界的な縮図から考えると、ある意味通常の状態となっていると考えても良いのではないでしょうか。
一部の人がビットコインの取引の承認作業と報酬を独占している?
出典:blockchain.info
また、上述したように、ビットコインはマイニング(ビットコインの取引の承認作業)によって、ビットコインを報酬としてもらうことができます。
このマイニングをするためには電気代がかかるため、現状は電気代が安い中国にマイナーが集中するという問題が起きていると本書では指摘されています。
確かに、実際にビットコインのマイニング事業者の上位はほぼ中国の企業です。ただし、こちらのマイニングについては、誰が参加しても良い訳です。
日本の企業であればGMOインターネットグループやSBIグループ、DMMグループなどが、2018年に向けて参入を表明していますが、今後アメリカやインドやヨーロッパの国々の企業が参加しても良いのです。
なので、現状は中国企業にほぼ独占されていますが、常に誰にでも門戸は開かれています。ですので、競争は実質的にはフェアであると言えるでしょう。
ビットコインは発行上限に達しても終わりではないと結論
以上、ビットコインの発行上限や、ビットコインの保有者の状況などの観点からもビットコインについて検討してみました。
以上のようなビットコインの問題点を踏まえても、「まだビットコインは終わっていないのでは?」と思われた方は、まずは少額からでもビットコインの購入を検討されてみてはいかがでしょうか。