2017年に入ってからICO(Initial Coin Offering)という資金調達手法が話題になりました。
今回は初心者向けにICO投資の危険性や注意点、実際の参加方法までを分かりやすく解説します。
ICO(Initial Coin Offering)とは?
そもそもICOとは、仮想通貨を新しく発行することで資金調達をする手法です。
資金調達側の視点から見ると、ICOは資金調達手法の一つです。ICOとは「Initial Coin Offering」の略で、要は企業やプロジェクトが新しい仮想通貨やトークンを発行して資金調達を行う形となります。
ICOを行う企業やプロジェクトは、HP上にプロジェクトの概要やトークンの利用用途、発行上限などを記載した「ホワイトペーパー」を掲載し、世界中からビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を調達しようと試みます。
ICO投資とは?
ここで、ICO投資とは、日本円をビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨に換金し、それらの仮想通貨を特定のプロジェクトに投資する行為のことです。投資することで、自分はプロジェクトが発行する新しい「トークン」をもらえます。
その新しい「トークン」が、どこかの仮想通貨の取引所によって取り扱われることで、「トークン」の売買が可能になります。そして「トークン」の価格が投資時点よりも上昇した時点で売り抜けることができれば、利益が出るという仕組みです。
ICO投資の成功例には何がある?
例えば、ICO投資での成功例にはどのようなプロジェクトがあるかというと、仮想通貨のイーサリアムが挙げられます。
例えば、「イーサリアム(通貨単位:ETH)」の場合は、2015年7月にICOを実施し、当時は「1 ETH=0.0005 BTC」と日本円にして約16円でした。2017年12月時点の価格は日本円で約48000円ですので、約2年間ちょっとで3000倍にも値上がりしています。
他にも例えば、ブロックチェーン上に記録を残すことを目的としたプロジェクトである「ファクトム(通貨単位:FCT)」の場合は、仮想通貨の取引所に上場してから約2年間で、200倍以上に値上がりしています。
ICO投資に参加したことで億万長者になった人々も続出

上記のチャートは、仮想通貨の取引所がファクトムを取り扱いを始めてからのチャートになります。
ですが、それでも当初の価格から200倍以上に上昇しています。そのため、例えばファクトムのICOに参加しそのまま保有していた場合は、更に高いリターンを享受できていたことでしょう。
なお、ICO投資に参加するためには、まずは仮想通貨の取引所に無料の口座開設をして、ビットコインやイーサリアムを購入する必要があります。
ICO投資の危険性とICO投資に参加する際の注意点

まず、ICOに参加する場合に伴う第一の危険性は「詐欺プロジェクト」が2017年から増えてきている点です。
もちろん全うなプロジェクトもありますが、中には詐欺的なものや、詐欺なのかそうでないのかの見分けがつき辛いプロジェクトも存在します。
公式サイトの内容をしっかりと確認する
そのような詐欺に騙されないためには、まずは公式HP(メンバー、アドバイザー、ホワイトペーパー、SNS、GitHubなど)をしっかりと確認することが大事です。
最近では日本語でICO情報をまとめてくれている人もいますので、そのような情報も参考までに確認しておくと良いでしょう。
ただし、中にはそのサイト自体が詐欺のような場合もありますので、その点は注意が必要です。
ICO投資ではフィッシング詐欺にも注意
続いて、ハッカーによるフィッシング詐欺も横行しています。ICOに参加する際には、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を、指定された「アドレス」に送金する必要があります。
ICOプロジェクトの最新情報を取得するためには、メールアドレスを登録して情報収集をすることが多いです。
そして、そこで自分が登録したメールアドレスに、偽のICOの送金先アドレスを送信してくることがあるのです。
ですので、ICOに参加する際は、送金先のアドレスが本当に指定のICOのアドレスなのかどうか?は、きっちりと仮想通貨を送金する前に確認しておく必要があります。
ICO投資のリスク

ICO投資は、スタートアップへのエンジェル投資のようなものです。全てのスタートアップが成功しないように、全てのプロジェクトが成功する訳ではありません。
そのため、例えばICO投資したプロジェクトが結局上手くいかなかったり、プロジェクトの開発が途中で終わってしまったり、はたまたプロジェクトの開発者が資金を持ち逃げしてしまうリスクなども起こり得ます。
また、一般的なエンジェル投資のように、ICOによって投資した仮想通貨は、その企業の「株主資本」に組み込まれる訳ではなく、投資した金額に応じて「株式」を配分されて株の「議決権」をもらえる訳でもありません。
私たち投資家がICO投資を通じて送金した「イーサリアム」などの仮想通貨は、その企業の「売上」となります。ですので、たとえICO投資をしたとしても、私たち投資家は、その企業やプロジェクトへの影響力は小さいです。
従って、平たく言ってしまえば、ICO投資は「投資」というよりも、当たればラッキーな企業やプロジェクトへの「寄付」に近い行為と言った方が、実態には近いでしょう。
但し、そうは言ってもICO投資は、何百倍ものリターンを得られる可能性がある投資であることは変わりません。
ICO投資の新しい可能性

ICO投資のメリットは、世界中の誰でも、仮想通貨で、国境を超えて、未上場企業への投資に参加できるところです。
これまでは未上場企業への投資は、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル、プライベートエクイティなどの限られた企業や人々しか参加できませんでした。
また、資金調達側も投資家に「株式」を渡さずに、新しく仮想通貨を発行することで、世界中の不特定多数の投資家から資金を調達することができます。
そもそも資金調達側は「株式会社」という形態である必要すらなく、プロジェクト形式でも良いのです。ですが、今ではビットコインなどの仮想通貨を持っている人であれば、誰でもそのような投資に参加できるようになったのです。
ICO投資の3つのメリット
- 一般人でも、国境を超えて、企業やプロジェクトを応援できる
- 仮想通貨の取引所に上場すれば、売却ができる
- 投資した価格の何倍、何十倍ものリターンを得られる可能性がある
改めてICO投資のメリットをまとめると上記になりますが、ICO投資は、投資が成功すれば、リターンが非常に高いです。イーサリアムやファクトムなどがその好例でしょう。
また、ICO投資の場合は、「プロジェクトが成功すること=発行されたトークンの価格が上昇すること」とは限りません。極端な話、例えプロジェクトのプロダクトが世の中にローンチされなくても、期待値だけでトークン価格が上昇することもあるのです。
ICOを実施したトークンが値上がりする要因
例えば、プロジェクトに関する好材料ニュースがあったり、仮想通貨業界の著名人がそのプロジェクトに対して好意的な発言をしたり、新しく他の仮想通貨の取引所がそのトークンを取り扱い始めただけで、トークン価格が1日に何倍になることもあります。
そのため、トークン価格が値上がりした時点で売り抜けようと考えている仮想通貨の投資家もいるようです。
仮想通貨の取引所へコインが上場すると売買が可能になる

ICO投資で特徴的な点は、仮想通貨の取引所(日本円をビットコインに交換したり、ビットコインを日本円に交換できたりするサービスなどを提供している業者)が、勝手に新たに発行されたコインを取り扱い始めることができる点です。
この状態を「取引所にコインが上場した」と表現する場合があります。仮想通貨の取引所が、勝手にコインを「上場」させることで、ICOに投資した投資家は、そのコインを自由に売買できるようになるのです。
つまり、コインを発行している企業が実際の株式市場に上場することがなくても、勝手にコインが取引所に「上場」しさえすれば、仮想通貨市場での売買が可能になるのです。
こうしてICOを実施したコインの価値が1年で1万倍になることもあるため、現在では多くのICO投資による億万長者も誕生しています。
ICO投資についての理解を深めるためには?
以上のように、ICOはハイリスク・ハイリターンな投資ではありますが、色んな可能性を秘めた仕組みでもあります。
2017年には日本初のICOであるALISプロジェクトが4億円の資金調達に成功し、ICOに関する規制も日本は世界に先駆けて進んでいます。
また、株式投資と異なり、仮想通貨の取引は365日24時間可能ですので、土日も関係ありません。そのため、平日は働いている方でも土日に参加することが可能です。
このような点も、ICOが画期的と言われる所以でしょう。
そのため、ICO投資に関心のある方は、一度勉強がてら仮想通貨の取引所からビットコインを購入してみると、よりICO投資に対する理解は進むかと思われます。
【簡単図解】ICO投資への具体的な参加方法
- 仮想通貨の取引所に口座を開設して、イーサリアムを購入する
- MyEtherWallet(マイイーサウォレット)を作成する
- 仮想通貨の取引所から、MyEtherWalletにイーサリアムを送金する
- MyEtherWalletから指定のアドレスに送金する
続いて、ICO投資へは上記の4ステップが必要となります。それではそれぞれの詳細を、一緒にみていきましょう。
1. 仮想通貨の取引所に口座を開設する

まず、仮想通貨の取引所に口座を持っていない方は、イーサリアムを取り扱っており、取引の手数料が安いZaifなどで、無料の口座開設をしましょう。
運転免許証などの本人確認書類の写真をアップロードすれば、簡単にネット上で口座開設の申請ができます。申請後に自宅にZaifからハガキが届きますので、そちらに記載のコードをネット上で入力すれば、口座開設は完了します。
Zaifでの口座開設が完了したら、ビットコインに続いて時価総額2位の仮想通貨である「イーサリアム」を購入します。なぜなら、ICOに参加するには、大抵ビットコインかイーサリアムで参加することが可能だからです。
2. MyEtherWallet(マイイーサウォレット)を作成する

続いて、仮想通貨の取引所でイーサリアムを購入したら、マイイーサウォレット(MyEtherWallet)にイーサリアムを送金します。
MyEtherWalletとは、イーサリアムを保管しておくインターネット上の財布です。
MyEtherWalletのページにアクセスしたら、右上の「日本語」ボタンから日本語に変更し、左上の「New Wallet」ボタンを押してお財布の作成画面にします。
お財布の作成

パスワードを入力して「お財布の作成」ボタンを押します。

そうすると上記の画面が出ますので、ダウンロードボタンを押します。このファイルのアップロードと、先ほど入れたパスワードで、MyEtherWalletを開くことができます。
そして「理解できました。続けます」のボタンをクリックします。そうすると「秘密鍵」が出てきます。
秘密鍵の保存

この「秘密鍵」でもMyEtherWalletを開くことができますので、「秘密鍵」は忘れないようにどこかにコピー&ペーストしておきます。
なお、この「秘密鍵」は誰にも知られてはいけません。もし「秘密鍵」がばれたら、他の人に自分の財布の中身を取られてしまう可能性があるからです。
ウェブ上の財布であるMyEtherWalletは、この「秘密鍵」で開けることができます。

「秘密鍵」を使って自分のお財布を開けると、「自分のアドレス(公開鍵)」を見ることができます。

続いて、こちらの「自分のアドレス」に、イサーリアムを仮想通貨の取引所から送金します。
3. 仮想通貨の取引所から、MyEtherWalletにイーサリアムを送金する

上記はコインチェックの例ですが、「コインを送る」ボタンから、「Ethereum」を送るボタンをクリックします。
その後、「宛先」にMyEtherWalletの「自分のアドレス」を入力し、送る金額を決めて「送金する」ボタンをクリックすれば、送金が完了します。
なお、最初から大金を送るのではなく、きちんと送れたかどうか確認するために、最初は少額を送金してみるのが良いでしょう。イーサリアムネットワークの混雑の度合いによりますが、早ければ数分〜数十分程度でMyEtherWalletに到着します。
こうしてきちんとイーサリアムの送金が確認できてから、大きな金額の送金を試してみましょう。
4. MyEtherWalletから指定のアドレスに送金する

最後に、MyEtherWalletからICOの指定のアドレスに送金することで、ICOへの参加が完了します。送金すべきICOの指定のアドレスは、公式HP上に掲載されることが多いです。
ICOの情報は、大抵の場合はICOを実施する企業ないしはプロジェクトの公式HP上に、メールアドレスの登録フォームなどがあります。ですので、そちらで登録しておけばメールで連絡がきます。
ICO投資の手順は上記になりますが、慣れれば非常に簡単です。まずは実際にビットコインやイーサリアムなどの代表的な仮想通貨を購入してみて、実際に自分で仮想通貨を送金されてみることをおすすめします。
ICO投資は新しいテクノロジーやサービス学べる良い機会
出典:CB insights
日本で仮想通貨市場が盛り上がりをみせたのは2017年の5月ごろですので、まだまだこの仮想通貨市場は始まったばかりです。今後さらに「仮想通貨」自体の認知度は日本でも進み、多くの人がこのICOにも参加していくことが想定されます。
実際に2017年だけでも、ICO投資によって30億ドル以上の仮想通貨がブロックチェーンのプロジェクトに流れています。ICOによる資金調達は、すでにベンチャーキャピタルによるブロックチェーン領域への投資金額を、大幅に上回っているようです。
このようにICO投資がVC(ベンチャーキャピタル)投資の金額を上回る傾向は今後もしばらくは続くことが予想されますので、ICO投資の市場自体はますます伸びていくことでしょう。
ICO投資への参加は余剰資金で取り組むのが前提
ですが、ICOへの参加は、あくまでも余剰資金で取り組まれることをおすすめします。全財産をICOに投じてしまっては、大きく資産を失ってしまう可能性もあります。
また、ICOに関しては、ICOを通じて毎月のように新しいビジネスやプロジェクトが生まれていることも事実です。
ですので、ICOへ参加することを単純に「投機行為」と決めつけるのではなく、新しいテクノロジーやサービス学べる良い機会として捉えても良いでしょう。
日本初のICOプラットフォーム「COMSA」
最後に、2017年には日本初のICOプラットフォームである「COMSA」が誕生しました。「COMSA」は、金融庁登録済みの仮想通貨の取引所「Zaif」を運営する、テックビューロ株式会社が運営しています。
「COMSA」自身もICOを実施して「CMSトークン」を発行し、総額100億円以上を調達しています。そして、現在「CMSトークン」は、Zaifで取引が可能になっています。
今後もICOプラットフォーム「COMSA」上で企業がICOを実施した場合、発行した「トークン」は少なくともZaif取引所では取り扱ってもらえるようになるとは言えるでしょう。そのため、投資家の視点からすると、取引所で取り扱われないリスクを減らすことはできます。
当然、ICO実施後のトークンの価格がどうなるかは市場次第にはなりますが、そもそも仮想通貨の取引所に上場されない「トークン」もありますので、すでに売買の場が保証されているという点は、投資家にとってメリットがあるとは言えるでしょう。