ビットコインの崩壊は今後あるのか?コア開発者のコミュニティから可能性を検討

ビットコインのシステムそのものが、今後崩壊する可能性はあるのでしょうか?

ビットコインの「暴落」について頻繁に話題になりますが、例えば株式投資であっても、株価は上がったり下がったりを繰り返し、長期的に上昇していくことがありますので、「相場」とはそういうものであると言って良いでしょう。

それよりも、ビットコインに投資をする際のリスクとして検討した方が良いことは、ビットコインのシステムが今後崩壊する可能性はあるのか?です。なぜなら、ビットコインのシステムが崩壊したら場合、ビットコインは無価値となるからです。

ビットコインのシステムの崩壊可能性をプレイヤーから検討する

ビットコインのシステムが崩壊する可能性を検討するためには、ビットコインの世界に存在する「プレイヤー」を見ておく必要があります。ビットコインの世界に登場する主なプレイヤーは下記になります。

ビットコインの世界に登場するプレイヤー
  1. ビットコインのコア開発者
  2. ビットコインのマイナー(採掘者)
  3. ビットコインの事業者(ビットコインの取引所やウォレット提供業者など)
  4. ビットコインのユーザー
  5. ビットコインの支払いを受け付ける店舗や企業

これらの全てのプレイヤーがいなくなった時、もしくはこれらのうち複数のプレイヤーが世界から消えた時、ビットコインのシステムは完全に崩壊するでしょう。

しかしながら、短期的にビットコインの価格が下落することはあっても、世界中に波及したこれらのプレイヤーが完全に消え去る可能性は、実際のところは低いと言って良いのではないでしょうか?

ただし、そうは言っても、例えば「コア開発者」全員がビットコインプロジェクトから抜けてしまう事態などが発生してしまっては、ビットコインのシステムは非常に不安定になり、ビットコインコミュニティへの信頼も崩壊してしまいかねません。

そこで今回は、このビットコインの「コア開発者」に焦点を当て、ビットコインの崩壊の可能性を検討します。

ビットコインのコア開発者とは?

開発者

まず、ビットコインのコア開発者とは、世界中に公開されているビットコインのプログラミングコードに基づいて、実際にビットコインの開発を行う人々です。

2008年に匿名のSatoshi Nakamotoが「Peer to Peer Electornic Cash System」という設計書(プログラミングコード)を発表し、それに基づいて有志のエンジニア達が開発を行ってきたことで、現在のビットコインのシステムが稼働するようになりました。

現在はビットコインのプログラミングコードを元に「Bitcoin Core」というソフト(ビットコインのルール)が作成されており、このルールを実際に修正できるのは、ビットコインのコア開発者たちのみとなっています。

だたし、ビットコインのコア開発者が「ビットコインのルール」を決めれるからといって、実際にその「ビットコインのルール」に乗ってビットコインという決済システムを使うかどうかは、ビットコインのマイナーや事業者、ユーザーである私たち次第です。

また、「ビットコインのルール」は決められませんが、ビットコインへの「改善提案」は誰でも提出することができます。この改善提案を「BIP(Bitcoin Improvement Proposals)」と言いますが、これまでにもいくつものBIPが提案されています。

ビットコインのコア開発者とは、具体的に誰なのか?

開発者

それではビットコインの著名なコア開発者とは一体誰なのでしょうか? 過去も含めると下記のような著名人がいました。

著名なビットコインのコア開発者
  1. ギャビン・アンダーセン(Gavin Andresen)氏
  2. ジェフ・ガルジック(Jeff Garzik)氏
  3. マイク・ハーン(Mike Hearn)氏
  4. グレッグ・マクスウェル(Greg Maxwell)氏
  5. ピーター・ウィール(Peter Wuille)氏
  6. エリック・ロンブローゾ(Eric Lombrozo)氏

現在はビットコインに対する思想の違いなどから、ビットコインのコア開発から抜けてしまった人も多くいます。それぞれの方の詳細を下記に記載し、崩壊の可能性を検討してみます。

1. ギャビン・アンダーセン(Gavin Andresen)氏

ギャビン・アンダーセン氏は、1988年にプリンストン大学を卒業後、エンジニアとしての長年のキャリアを歩んでいます。

2011年にビットコインの生みの親である「Satoshi Nakamoto」からビットコインの開発を直接委ねられ、ビットコインのリード開発者として、数多くのビットコインのアップデートを行ってきた人物です。

2012年にビットコイン財団(Bitcoin Foundation)を設立し、2014年にビットコインの開発からは離脱。ビットコイン財団もその後離脱し、2015年にはMIT Digital Currency Initiativeに、他の開発者のコーリー・フィールズ氏、ウラジミール・ファン・デル・ラーン氏などと共に参画しましたが、現在はそちらも卒業しているようです。

ビットコイン財団は、2012年9月に設立されたアメリカの非営利団体。「世界中のユーザーの利益のため、暗号通貨ビットコインの使用を標準化・保護・促進する」という使命のもと、始められた。

なお、ビットコイン財団の設立当初のボードメンバーは、ギャビン・アンドリーセン、ロジャー・バー、マーク・カルプレイス(元マウントゴックスCEO)、ピーター・ヴェッセン、チャーリー・シュレムが在籍していましたが、現在はメンバーが全員変わっており、誰も残っていません。

2. ジェフ・ガルジック(Jeff Garzik)氏

ジェフ・ガルジック氏は、2013年5月〜2014年12月の間にビットコインの開発者として従事した人物です。

2017年に「Segwit2X」を支持していましたが、直前で自身がCEOを務めるBloq, inc.で、ICOによって新しい仮想通貨「metronome」を発行することを表明しました。

2015年からはBloqのCEOであり、BitFury、BitPay、Chain.com、Netki、WayPaver Labsなどのアドバイザリーボードメンバー、2016年からはLinux Foundation役員も勤めています。

3. マイク・ハーン(Mike Hearn)氏

マイク・ハーン氏は、2016年まで約5年間ビットコインプロジェクトに携わった人物です。

現在はビットコインプロジェクトを離脱し、R3(世界最大の金融機関70社以上が参加するコンソーシアム)にて、金融機関向けのオープンソースの分散型元帳プラットフォーム「Corda」の開発に従事しています。

グーグル(スイス)に7年間勤務した経歴を持つエンジニアで、Sky TVやBBC Newsへも出演し、Economist誌はマイクハーンをビットコインの専門家であり、特筆すべき開発者だと何度も紹介していたようです。

マイク・ハーン氏が提唱した「Bitcoin XT」

マイクハーン氏が離脱した原因は、ギャビン・アンダーセン氏と共に提案した「Bitcoin XT」が、他のコア開発者から反発を受けたことにあるようです。

「Bitcoin XT」は「BIP101」の修正バージョンとして、ビットコインの「スケーラビリティ問題」を解決するために、ビットコインのブロックサイズを拡張することを目的とした提案です。

ビットコインのスケーラビリティ問題とは、ビットコインにおけるブロックチェーンのブロックサイズが1メガバイト(MB)に制限されている結果起きている問題です。

1MBの制限のために、ビットコインの取引手数料が上昇したり、取引の処理が遅延したりする問題が生じています。

当時のビットコイン業界には、「BIP101」への賛成者と反対者が存在しました。

BIP101への賛成者(当時)

BIP101には、ビットコイン事業者のBitPay、Blockchain.info、Circle、KnCMiner、Bitnet、Xapo、Bitgoなどが賛成を表明し、マイナーのSlush Poolは率先してBitcoin XTを採用したマイニングプールを解放しました。

他の大手マイナーのBTCChina、Huobi、Antpool、F2Pool、BW.comなども、BIP101へ賛同した訳ではありませんでしたが、8MBのブロックサイズに合意する内容の共同署名を実施したりなどしました。

また、米国大手ビットコイン取引所のCoinbaseは、2015年にビットコインXTを採用すると表明したりもしました(その後、2016年には関係者との協議によってその立場を転換し、反対派のコア開発者と和解したと発表しました)。

BIP101への反対者(当時)

一方、ビットコインコア開発者のGregory Maxwell氏(Blockstream社所属)、Pieter Wuille氏(Blockstream社所属)、Peter Todd氏などは、BIP101へ反対を表明しました。

また、マイクハーン氏によると、bitcoin.orgのサイトと上位のディスカッション・フォーラムの運営者が、フォーラム上で「Bitcoin XT」に触れたポストを削除したり、膨大なユーザーをフォーラムから追放したとのことですので、激しい対立があったようです。

マイク・ハーン氏のビットコインという実験に対する意見

マイク・ハーン氏のビットコインプロジェクト離脱の詳細は、自身の「The resolution of the Bitcoin experiment(日本語はこちら)」というブログに記載されています。

ブログでマイクハーンは「ビットコイン・コミュニティがうまくいかなかったため、ビットコインという実験は失敗した」と述べています。

ビットコインは分散型のマネーになるはずでしたが、実際は「一部の人々によって完全にコントロールされている仕組み」となってしまい、結果としてビットコインが従来の金融システムより優れたものになるという望みは絶たれてしまったとのことです。

こちらの騒動の詳細については憶測するしかありませんが、後日「ビットコインピザ物語」としても語られていたりします。

4. グレッグ・マクスウェル(Greg Maxwell)氏

続いて、Greg Maxwell氏は、2014年にAdam BackやAustin Hillと共にBlockstream(ブロックストリーム)社を設立し、現在同社のCTOを務める人物です。ビットコインのスケーラビリティ問題を解決するための技術である「Segwit」の支持者の一人です。

マイク・ハーン氏いわく、Gregory Maxwell氏は「ビットコインが成立し得ないことを数学的に証明した」と主張したことがあり、Satoshi Nakamotoのオリジナルバージョンに信用をおかなかった人物とのことですので、この辺に対立があったことが伺えます。

しかし、上記のツイッター上での発言のように、現在は2017年8月1日に「ビットコイン」から分派し、ブロックサイズを1MBから8MBに拡張させた「ビットコインキャッシュ」を認めているようにも見受けられます。

5. ピーター・ウィール(Peter Wuille)氏

続いて、Peter Wuille氏もBlockstream社の社員で、2015年12月にEric Lombrozo氏とDr. Johnson Lau氏と共に「SegWit」のプロトコルを「BIP141」を提案した人物です。

6. エリック・ロンブローゾ(Eric Lombrozo)氏

最後に、Eric Lombrozo氏はCiphrex Corp.のCEO兼CTOで、先ほどのPeter Wuille氏と共に「Segwit」を支持した人物です。その他の著名なコア開発者には、Luke Dashjr氏(Blockstream社の社員)やPeter Todd氏などがおり、共に「Segwit」を支持しています。

コア開発者の動向から検討する「ビットコイン崩壊」の可能性は?

結論

以上のように、これまではコア開発者の間でも色々と対立があったようですが、現在のコア開発者のメンバーには「Blockstream社の社員」が多くなっています。

また、2017年8月1日にビットコインから「ビットコインキャッシュ」が分派し、ブロックサイズの拡張派(ビックブロック派)がコア開発者のコミュニティから離脱したことで、現状のビットコインのコア開発者達の目指す方向性は「Segwitを支持する」という点で、一致しているようには見受けられます。

さらに、Blockstream社は、下記のようなベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から総額76百万ドルもの調達をしています。ですので、いきなりBlockstream社が倒産し、コア開発者のコミュニティが崩壊するという可能性も低いのではないでしょうか。

Blockstream社への出資企業
  • AME Cloud Ventures
  • AXA Strategic Ventures
  • Blockchain Capital
  • Digital Currency Group
  • Digital Garage
  • Future\Perfect Ventures
  • Horizons Ventures
  • Innovation Endeavors
  • Khosla Ventures
  • Mosaic Ventures
  • Real Ventures
  • Reid Hoffman
  • Seven Seas Venture Partners.

一部ツイッター上では、元々のコア開発者たちが「ビットコインキャッシュ」を支持するような発言をしたりしていることで、状況が若干複雑にはなっていますが、「ビットコイン」と「ビットコインキャッシュ」それぞれが別の道を歩む可能性もあります。

ですので、コア開発者の観点から検討する限りでは、そもそものビットコインシステムに重大な欠陥が見つかったり、新しく実装されたSegwitにどうしようもない欠陥が見つかったりしない限りは、ビットコインのシステムは崩壊しないのではないでしょうか。

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